小池百合子氏と蓮舫氏は、元キャスターの女性政治家という共通項があるが、「世襲政治家ではない」点でも共通する。例えば自民党では、いわゆる世襲議員の割合が3割にもなる。首相に限定すると事態はもっと深刻で、ここまで世襲政治家が首相になる民主主義国家は実にまれだ。有力な女性候補2人が戦う東京都知事選は、日本が変わるきっかけになるだろうか。(著述家 山中俊之)
アラビア語要件が厳しいカイロ大学
筆者は、1991年から93年の2年間、エジプトのカイロに住んでいた。外務省の在外研修生としてアラビア語を習得するためだ。エジプト人家庭に下宿をして、毎朝アラブ人家庭教師から個人レッスンを受け、その後カイロ・アメリカン大学に通って他の学生と一緒にアラビア語の習得に励んだ。
普段の下宿先のエジプト料理に飽きた時に利用していたのが、「浪花」という日本料理店。小池百合子都知事のご両親の経営する店だ。愛想の良いお母さまで、エジプトにまつわる世間話をしていたことを思い出す。
アラビア語は、動詞の変化が大変に複雑であり、これら文法の基本を頭に入れるだけで、通常は1年程度かかるだろう。文章を読み、書けるようになるには、個人差はあるが1~2年かかると思う。
在外研修を終えて、大使館勤務になると通訳業務が待っている。政府高官相手の通訳で失敗はできない相当のプレッシャーのもと、危機感を持ってアラビア語を学んでいたことを思い出す。
英語で授業を受けることができるカイロ・アメリカン大学と異なり、カイロ大学では入学において高度のアラビア語能力が求められる。「自分もカイロ大学に入学できたら良いな」くらいに思ったことはあるが、とても狭き門であるため、受験のはるか前の段階で頓挫した。
小池百合子氏がテレビのキャスターから参議院議員に転じたのは、この頃だ。「あの難関のカイロ大学に入学できるだけでなく、首席で卒業した人がいる」との触れ込みだった。
にわかに信じられなかった。カイロ大学の卒業はもちろん、入学要件も厳しいことを知っていたからだ。当時のカイロでアラビア語を学んでいた日本人留学生の中には、疑心暗鬼の人も多かったように思う。