ランキング上位の大学では
人材を育てるシステムを構築

 23年のランキングでは、ANAの1位は慶應義塾大学、2位が東海大学、3位が東京大学、日本大学、早稲田大学が並んだ。他に、大阪大学、京都大学、横浜国立大学、横浜市立大学などの国公立大学、MARCHのうち法政大学と青山学院大学、理系の東京理科大学などがランクインした。

 東海大学については、プロパイロットになる近道として、06年4月に国内初の航空機操縦士養成コース「航空操縦学専攻」を開設したことが影響しているとみられる。

 また、日本大学は19年度からANAビジネスソリューションが運営するANAエアラインスクールと教育連携校協定を締結しており、エアライン業界で働きたい学生を支援する体制が整っている。それが上位に来ている要因だろう。

 JALでは、1位に慶應義塾大学と早稲田大学が並び、3位は立教大学だった。立教大学では、毎年夏休みに経済学部で「JALサマーワークショップ」というプログラムが開催されている。

 4位の桜美林大学では、航空業界を志望する人向けの「アビエーションマネジメント学類」を設けるなど、上位校では航空業界の人材を育てるためのシステムを整えている。

 早慶以外の私立大学ではMARCH勢が上位に来ており、国立大も多いことが両社の共通点だ。

外資系が積極採用で競争激化
日系に就職するメリットとは?

 航空業界が定期的に採用する人材は、顧客対応をするキャビンアテンダント(CA)や機体整備関係の技術者が多い。特に機体整備は専門領域の仕事であり、基本的に技術者を自社で育てなければならないため、常に人手不足感がある。

 一方で、今後は国際線の開拓が航空会社の成長基盤になるため、語学力も含めて国際的に活躍できる人材のニーズがより高まるだろう。

 世界的に観光・出張需要が戻ってくる中、外資系の航空会社がコロナ禍で解雇した人たちを再雇用している。日系は外資系との採用競争にさらされそうだ。

 しかし、日系に就職するメリットはある。外資系と比べて雇用調整に慎重だからだ。コロナ禍のJAL、ANAは早期希望退職を一部で実施したが、基本的に配置転換などで対応し、外資系のような大量解雇はしなかった。この仕事の安定性こそが、日系の大きな特徴である。

*この記事は、株式会社大学通信の提供データを基に作成しています。

【ランキング表の見方】
医科・歯科の単科大等を除く全国749大学に2023年春の就職状況を調査。567大学から得た回答を基にランキングを作成した。就職者数にグループ企業を含む場合がある。大学により、一部の学部・研究科を含まない場合がある。東京大学は「東京大学新聞」、京都大学は「京都大学新聞」より集計。大阪公立大は統合前の大阪市立大と大阪府立大の実績を掲載した。企業名は大学通信の調査方法にのっとって表記しており、正式名称と異なる場合がある。(調査/大学通信)