【1分読み切り】ある心理的メカニズムを踏まえると、受け入れがたいストレスの対処法が見えてくる!
誰しも悩みや不安は尽きない。寝る前にイヤなことを思い出して、眠れなくなるなんてことも……。そんなときの助けになるのが、『精神科医Tomyが教える 30代を悩まず生きる言葉』(ダイヤモンド社)だ。ゲイのカミングアウト、パートナーとの死別、うつ病の発症……苦しんだ末にたどり着いた、自分らしさに裏づけられた説得力ある言葉。心が落ち込んだとき、そっと優しい言葉を授けてくれる“言葉の精神安定剤”で、気分はスッキリ、今日一日がラクになる!
※本稿は『精神科医Tomyが教える 30代を悩まず生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
その悩み、実はたいした問題ではない?
今日は少し重めの内容ですが、人は物事の重大さに応じて悩むわけではないということについて、お話ししたいと思います。
人が悩むときは、その悩みの大きさが、実際の問題の重大さを反映しているとは限りません。些細なことでも、その人にとっては大きな悩みとなり得ます。
一方で、重大な問題であっても、その人があまり気にしていないということもあるのです。
つまり、アナタの頭を占めていて、大きなストレスになっていることが、実はたいした問題ではないということがよくあるのです。
自分の気持ちを加工する心理的働き
逆に、まったく気にしていないことが、実は重大な問題であるということも十分にあり得ます。
なぜこのようなことが起こるのでしょうか。それは、人間には「防衛機制」と呼ばれる心理的な働きがあるためです。
これは、受け入れがたい苦痛や危険に直面したとき、不安を低減させるため、無意識に発動する心理的な働きです。
つまり、物事がうまくいかないと葛藤が生じますが、その葛藤を中和するために、自分の気持ちを加工してしまう傾向があるのです。
大きな問題から心身を守る心理
この防衛機制の働き方は、人によって異なります。目の前の事実を無意識に否認したり自分の気持ちを否定したり、自分の気持ちを他人のものだと投影したりすることもあります。
さまざまに防衛機制が働くことで、自分が感じる物事のストレスの大きさは変化してしまいます。つまり、自分が感じている悩みの大きさは、必ずしも問題の重大性を反映していないということなのです。
あまりにも重大な問題に直面すると、人間は逃げてしまう傾向があります。これも一種の防衛機制で、意識的に問題をスルーしてしまう面があるのです。
そうなると、大きな問題でありながら、あまり悩んでいないという事態も起こり得るのです。
小さな悩みを肥大化する悪い癖
要するに、あなたを悩ませている問題というのは、非常に主観的なものであり、実は放置してよいものかもしれません。
人間関係の些細な問題でさえ、そうした傾向があります。仲よくしていた相手から急に連絡がなくなった場合、たまたまかもしれません。たとえ、仲が悪くなったからだとしても、そこまで心配する必要はないかもしれません。
しかし、私たちは“頭がお暇”になればなるほど、つい考え過ぎてしまうもの。仲よくしていた人だけに、あれこれと詮索してしまい、悩みを肥大化させたりするのです。
些細なことで過剰に悩まない方法
ですから、もし不安や悩みが頭の中を占めるようになったら、一度立ち止まって客観視することが大切です。本当にそれほど悩む価値のあるものなのかどうかを評価し直すべきなのです。
そうすれば、実はたいした問題ではない、または放置してもよい問題がたくさんあることに気づくはずです。もし、たいした問題であっても、自分ではどうやっても解決しない問題は、考えてもしょうがないですからスルーしてもよいと思います。
このように、一度整理して自分の悩みの大きさと物事の重大性を比較する癖をつけておくと、些細なことで過剰に悩むことが減ってくるでしょう。
※本稿は『精神科医Tomyが教える 30代を悩まず生きる言葉』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。