「どうしてもあいさつしたくないのなら、独立して自分1人で働けばいいのです」。
そう語るのは、これまで4300社以上の導入実績がある組織コンサルタントである株式会社識学の代表取締役社長・安藤広大氏だ。「会社員人生が変わった」「もう誰も言ってくれないことがここに書いてある」と話題の著書『リーダーの仮面』では、メンバーの模範として働きつつ、部下の育成や業務管理などで悩むリーダーたちに「判断軸」を授けている。この記事では、本書より一部を抜粋・編集し、注目のマネジメントスキルを解説する。(構成/ダイヤモンド社・種岡 健)
「誰でも守れるルール」は重要
組織づくりをするリーダーがやらなければいけないことは、何でしょうか。
それは、
「ルールを作り、それを守らせる」
ということです。
ルールには大きく分けて2種類があります。
それが、「行動のルール」と「姿勢のルール」です。
まず、「行動のルール」というのは、「1日に3件、営業回りをする」「今月は会社に300万円の売上を達成する」などのルールです。
会社が設定した目標と連動したルールですね。
したがって、守れる場合と守れない場合があり、それによって部下は評価されます。
2つ目の「姿勢のルール」とは、「できる・できない」が存在しないルールのことです。
まさに姿勢が問われるルールなので、「姿勢のルール」と呼んでいます。
「社員同士であいさつをしましょう」
「会議には3分前に集合して参加しましょう」
「日報を17時までに提出しましょう」
というものが姿勢のルールにあたります。
これらには、「やろうと思えば、誰でも守ることができる」という特徴があります。
姿勢のルールは、組織に対する姿勢を表すものです。
「できる・できない」が存在しないので、守らない人間は「意図的に守っていない」ということになります。
姿勢のルールを徹底して守らせることが、組織のリーダーとして最も重要なことなのです。
「仲間意識」を生み出す
「姿勢のルール」を守らせるのには、大きなメリットがあります。
それは、メンバーに「この輪の中にいるんだ」「この会社の一員なんだ」という認識を持たせられることです。
そのルールは、口頭で伝えるだけではなく、メールや共有ファイルなどで文章にし、いつでも見られるようにしましょう。
ルールはそのチーム、組織ごとに違って構いません。
極論を言えば、なんでもいい。「できる・できない」が存在しないルールを守らせる、ということが重要です。
それにより、「上司と部下」「リーダーとメンバー」の関係をつくっていきます。
「姿勢のルール」がない組織では、組織に対する帰属意識が働きにくくなります。
どんな会社であっても、2人以上の「組織」で働いているわけです。そこには必ずルールがあります。
「あいさつすらできない会社が、いったいどんな事業を成し得るのでしょうか?」
そして、そのルールが部下ごとに異なるのはNGです。
たとえば、「あなたは会議には来られるときだけでいいよ」や「あなたは日報を月末にまとめて出す人だよね」と、人によってそれぞれルールが違うような状況です。
よかれと思ってこれをしてしまうと、組織への帰属意識は薄れます。
ルールは「全員が守れる範囲」で統一すべきです。
共通のルールを守っていることイコール、その組織の一員であるという認識を持つことになります。
そのことを忘れないようにしましょう。
どうしてもあいさつしたくないのなら、独立して自分1人で働けばいいのです。
(本稿は、『リーダーの仮面』より一部を抜粋・編集したものです)
株式会社識学 代表取締役社長
1979年、大阪府生まれ。早稲田大学卒業後、株式会社NTTドコモ、ジェイコムホールディングス株式会社(現:ライク株式会社)を経て、ジェイコム株式会社にて取締役営業副本部長を歴任。2013年、「識学」という考え方に出会い独立。識学講師として、数々の企業の業績アップに貢献。2015年、識学を1日でも早く社会に広めるために、株式会社識学を設立。人と会社を成長させるマネジメント方法として、口コミで広がる。2019年、創業からわずか3年11ヵ月でマザーズ上場を果たす。2024年6月現在、約4300社の導入実績がある。主な著書に『リーダーの仮面』『数値化の鬼』『とにかく仕組み化』のシリーズ(いずれもダイヤモンド社)がある。