海は地球を冷やすのに役立っている。スタートアップ各社は「海の化学」に手を加えることでこの働きを強化できると考え、そこに賭けている。この画期的アイデアは、まだ商業的な規模では証明されておらず、潜在的リスクを懸念する向きもある。だが少なくとも十数社の駆け出しの企業が、海洋の吸い上げる二酸化炭素(CO2)を増やす世界初の大型プロジェクトに着手しており、米政府や企業が提供する巨額の温暖化対策資金がその背中を押す。あるスタートアップ企業は、電気化学的な手法で海水からCO2を除去する。商業規模でこれを行う初の施設をシンガポールとカナダのケベック州に建設中だ。CO2を除去することで、海洋が大気からCO2を吸収する能力がさらに高まるという。米政府は最近、CO2回収助成金の第1弾をこの企業と競合の同様のアプローチを採る企業などに付与した。