回答のポイント:実際のタピオカ店の様子を踏まえて、売上の要素分解を行う
タピオカ店に行った経験から、実際の店舗や来店客の状況をイメージしましょう。

 以下が解答例です。

推定対象のタピオカ店や売上の要素を具体的に想像する

 今回、私は有名タピオカ店ブランドの渋谷にある店舗を前提に推定したいと思います。

 まず、タピオカ店の売上は、大きくイートインとテイクアウトで構成されますが、渋谷の場合は店内で飲食できるスペースは狭く、基本的にはテイクアウトの利用がメインになっていると思います。

 さらに、店舗が位置する渋谷は常に人でにぎわっており、タピオカドリンクの主な客層と想定される若者や女性が数多く存在するエリアと言えます。

推定対象:有名タピオカ店ブランドの渋谷店
タピオカ店の売上=イートイン売上+テイクアウト売上

 一時期のタピオカブームは過ぎ去りましたが、未だに根強い人気がありレジの前に会計や提供待ちの行列ができている印象です。

 また、朝・昼・夜の時間帯によって来店客数が異なり、混雑具合にも差が生じていると思います。

 最後に単価の面は、トッピングやメニューの種類は多種多様であるものの、1人あたりの平均単価は1000円以下と想定します。

推定対象を踏まえて、合理的な推定方法を構築する

 以上から、推定対象に設定した渋谷の有名タピオカ店は、イートインやテイクアウトの客が途切れなく来店していると仮定します。

 その上で、今回は「タピオカ店はどの程度の数の客に商品を提供できるのか」という観点からレジでの会計を想像して推定を行います。

 このように考えると、タピオカ店の1日の売上はイートインとテイクアウトの区分を考慮しなくとも、

1日の売上
=1日の来店客数×客単価
=1時間あたりのレジのキャパシティ×レジ稼働率×営業時間×客単価

 という計算式で算出できます。

 ここで、1時間あたりのレジのキャパシティとは「1時間で何組の客の会計を行うことができるか」、レジ稼働率とは「どれだけ、レジが混雑しているか」を意味しています。

 また、レジは複数台設置されていることを考慮すると、タピオカ店の1店舗における1日の売上は次のような計算式で推定できます。

1日の売上
=1日の来店客数×客単価
=1時間あたりのレジのキャパシティ×レジ稼働率×営業時間×客単価
=レジの台数×1時間あたりのレジ対応客数×レジ稼働率×営業時間×客単価

具体的な数値を設定し、タピオカ店の売上を推定する

 推定に際して、1時間あたりのレジのキャパシティについては、

1時間あたりのレジのキャパシティ(最大対応客数)
=レジの台数×1時間あたりのレジ対応客数

 で求められます。

 過去に自分がタピオカ店を訪れた際の感覚から、レジの台数を2台1時間あたりのレジ対応客数は1レジあたり40組(1.5分で1組の客を捌く)と想定します。

 その場合、1時間のレジのキャパシティは80組となります。

 次に、レジ稼働率について考えます。

 営業時間を来店客数が異なりそうな3つの時間帯に分けて考えます。

 具体的には、10:00-12:00の開店から昼頃にかけて徐々に混雑していった後、12:00-18:00の昼頃から夕方にかけてピークが続き、18:00-21:00の夕方以降徐々にピークアウトしていくと想定し、それぞれ稼働率を設定します。

 また、昼の時間帯は友達との来店や家族連れなど複数名での利用が多いと考えました。

 これらの点を踏まえて、時間帯で変動するレジ稼働率と客単価について、次のように整理しました。

人気のコンサル業界、フェルミ面接「タピオカ店の1日の売上を推定せよ」どう答える? 面接官が絶賛する解答例時間帯ごとのレジ稼働率と客単価を表にして整理する

 ここまでで推定した営業時間ごとのレジ稼働率と客単価を用いてタピオカ店の1店舗あたりの売上を推定すると、

タピオカ店の1店舗の休日の売上
=1時間のレジのキャパシティ×レジ稼働率×営業時間×客単価
=80×(0.8×2×600+1.0×6×1200+0.7×3×600)
=80×(960+7200+1260)
=80×9420
=75.36万円

 休日1日の売上は75万円となりました。以上です。ありがとうございました。

面接官からの質問

――推定結果について、金額は大きすぎる/小さすぎると思いますか?

 大きすぎるように感じます。稼働率について、営業時間の半分以上を常にレジ2台がフル稼働している状況を想定していましたが、人気のタピオカ店といえどもやや実態と離れているのかもしれません。

――時間に余裕があれば、追加で何を検討しますか?

 客単価について、より精緻に推定したいです。

 特に昼頃の客単価はざっくり高めに設定しましたが、家族連れや友人どうし・カップルなどに分類して、より精緻に1組あたりの来店人数を算出できると考えます。

――今回はレジ起点で推定を行っていただきましたが、他にはどのような推定方法があると思いますか?

 タピオカ店の商圏人数を算出し、その中でタピオカ店に来店する人の数を推定していく方法もあると思います。

 しかし、この推定方法は推測する要素が多くなってしまいます。そのため、今回のケースではやはりレジのキャパシティ起点の推定が適していると考えます。

(本稿は『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』から一部を抜粋・編集したものです)