今、学生や転職者から最も人気の就職先の一つがコンサルティング業界だ。一握りの有望な人材を見抜くために、この業界にはケース面接と呼ばれる独特の入社試験がある。新刊『問題解決力を高める 外資系コンサルの入社試験』は、大手コンサルティングファームで出題されたケース面接の問題を集め、現役コンサルタントに解答してもらうことで、コンサル流の思考法をノウハウとして凝縮した1冊だ。本稿では、本書執筆者の1人であるコンサルタントのNozomi氏にケース面接の対策法について話を聞いた。

面接準備をする人としない人「面接官の目に映る1つの決定的な差」Photo: Adobe Stock

ケース面接対策で、選考突破の確率を大きく伸ばせる

――新卒就活生にとってケース面接の対策が重要である理由を教えてください。

Nozomi氏:コンサル業界を志望する人にとってケース面接対策が必須であることは言うまでもありませんが、コンサル業界に限らず、他業界の就活にもケース面接対策は役に立ちます。

 多くの企業がグループディスカッション(以下:GD)を選考に取り入れていますが、GDはいわば「集団で取り組むケース面接」です。ですのでケース面接の解き方をそのままGDに応用することができます。

 何の対策もせずにGDに臨む学生はかなり多いので、基本的な対策を行うだけで、数多くの学生の中から抜きんでることができ、通過率を大きく伸ばすことができます

問題を与えられた時点で、議論の道筋を見通せるようになる

――対策をしている人と対策をしていない人では、どのような差が出るのでしょうか?

Nozomi氏:対策をしていない人にありがちな失敗は、闇雲に議論を進めてしまうことです。

 たとえば「あるレストランの売上を増やす方法を提案してください」という問題が与えられたとします。

 その際に、ケース面接やGDの対策をしていない人は、新規顧客の獲得に向けて「SNSを活用して集客をする」「口コミのレビューを増やす」といったように、最初からバラバラにアイデアを出してしまいがちです。

 しかし、これでは何を軸に、そのアイデアの有効性を比較し検討すればよいのかわかりません。アイデアベースの意見だけでは、議論が迷走してしまいます。

 レストランの売上を増やす方法には、新規のお客さんを集めるだけではなく、既存のお客さんの来店頻度を増やす方法もあります。また、顧客数ではなく単価にアプローチする方法も考えられます。

 そのため、思いつきでアイデアを出すのではなく、まずはこのレストランが置かれている状況を確認し、抱えている課題を構造的に捉え直すことが必要です。

 そのうえで、「このレストランにとって優先的に解決すべき課題は何なのか」と議論を進めていった方が、説得力のある解決策を導けますよね。

 ケース面接対策をしている人であれば、最初に問題が与えられた段階で、このように議論の道筋を頭に描くことができます。

 ゴールまでの道筋を見通し、全体を俯瞰して議論をリードできれば、ただ単にアイデアを出す人よりも、確実に面接官から高い評価を得られるでしょう。

これからケース面接の対策を始める人へ

――これからケース面接対策を始める人は、何からやっていけばよいでしょうか。

Nozomi氏:ざっくりと3段階で対策を進めていくといいと思います。

 まず、ケース面接には基本的な答え方の型があるので、その型を知ることです。

 この本ではケース面接の答え方を「5つのステップ」で紹介しています。この5つのステップを「問題解決の思考の型」として頭に入れてください。

 この型を頭に入れたら、次の段階として実際に問題を解いてみましょう。

 単に知識として型を知っている状態と、その型を使いこなせる状態はまったく別なので、自分の手を動かして問題を解くことは重要です。

 問題を解くことで、自然と型が身についていきます。

 ある程度ケース面接問題に慣れてきたら、最後の段階として模擬面接をしてみましょう。

 一緒に就活をしている友人や、すでに就活を終えた先輩に声をかけて、ぜひ面接のシミュレーションをしてみてください。

 実際の選考では、問題の解き方だけではなく、検討結果に対する面接官からのフィードバックを踏まえて、自らアイデアをブラッシュアップすることも重要なポイントになります。

 もちろん、面接官とのコミュニケーションの取り方、つまり問題に取り組むスタンスや話し方、聞き方なども見られています。

 対人で練習を繰り返して、本番の面接でも落ち着いてコミュニケーションをとれるように準備すれば、選考突破の確率を大きく伸ばせるでしょう。