右翼によるフランス共和国乗っ取りの動きは打ち止めとなった。フランスの有権者は7日行われた総選挙の決選投票で、わずかな差で左派に最大勢力の地位を与え、国民議会(下院)にねじれを生み出したようだ。こうした状況は、政治的混乱の張本人であるエマニュエル・マクロン大統領の仕事を楽にすることはないだろう。世論調査会社イプソスの早い段階での推計によると、左派連合「新人民戦線(NFP)」は国民議会(定数577)の177~192議席を獲得する勢い。マクロン大統領率いる中道連合は152~158議席、マリーヌ・ルペン氏の右翼政党「国民連合(RN)」とその連携勢力は138~145議席と予測されている。今回は左派以外の全員が敗者だ。マクロン氏は、6月の欧州議会選でRNが躍進した後、右派の政敵の力を弱めることを狙い、衝動的に解散総選挙を発表した。欧州議会選はたいてい抗議票に左右されるが、マクロン氏は一国の政府の支配権が懸かっていれば有権者はRNを見捨てると期待した。