欧州各国の新政権は毒杯を手にしている。変革の使命を帯びて選出されたが、それを実現する手段は限られている。
英仏海峡の両岸で、公的債務が数十年来の高水準に近づいている。選挙が行われたフランスと英国では、国内総生産(GDP)に占める財政支出と財政赤字の割合が、新型コロナウイルス流行前の水準を大幅に上回っている。経済成長はいまだ鈍く、借り入れコストは急上昇し、国防から老齢年金に至るまで財政需要は増大している。
こうしたことから、財政抑制、つまり歳出削減か増税が必要になるとエコノミストは指摘する。だが、政治家は有権者にその心構えをさせていない。それどころか、大胆な歳出計画を打ち出している。