決算報Photo:PIXTA

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬、武田薬品工業、第一三共、アステラス製薬の「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)

中外製薬が4社で唯一減収
その要因とは?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界4社。対象期間は24年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・中外製薬
 増収率:マイナス24.1%(四半期の売上収益2369億円)
・武田薬品工業
 増収率:9.9%(四半期の売上収益1兆509億円)
・第一三共
 増収率:8.9%(四半期の売上収益1052億円)
・アステラス製薬
 増収率:17.0%(四半期の売上収益4146億円)

 製薬業界の4社では、中外製薬が前年同期比で減収、他3社は増収だった。

 中外製薬は2割超の大幅減収に陥っている。その背景には、ある商品の影響があった。

 次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、中外製薬の減収要因およびその他の業績指標について解説する。