三菱ケミカルグループ新社長体制「化学回帰」宣言で囁かれる、田辺三菱製薬“切り離し”のタイミングPhoto:Diamond
*本記事は医薬経済ONLINEからの転載です。

 鳴り物入りで就任した初の外国人トップ、ジョンマーク・ギルソン前社長の実質的な“解任”で大きな関心を集めた三菱ケミカルグループ。4月にその後を襲った筑本学社長が5月15日の決算会見に合わせてプレゼンテーションを行った。社長就任後初の登壇とあり、業界関係者からの注目を集めたが、示されたのはわずか1枚にまとめられたペーパーだった。

 実力者だった小林喜光元社長が提唱した「KAITEKI」を盛り込んできたのはご愛敬。だが、その実現をリードする「グリーン・スペシャリティの化学会社に『変身』」ということがめざす姿だと打ち出しており、そこにはかつて重点領域として挙げられることもあった、ヘルスケアやライフサイエンス、ファーマといった言葉はなかった。社長就任インタビューで、「産業ガスと医薬におんぶにだっこ」(日刊工業新聞5月15日付)とまで言っているにもかかわらずだ。巨船の舵をとる「筑本丸」は、どうやら化学の会社で生きていくらしい。