2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は中外製薬や武田薬品工業などの「製薬」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)
中外製薬は前年同期比で3割超の大幅減収
その理由とは?
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の「製薬」業界4社。対象期間は2023年8~12月期の四半期(4社いずれも23年10~12月期)としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・中外製薬
増収率:マイナス37.6%(四半期の売上収益2738億円)
・武田薬品工業
増収率:1.3%(四半期の売上収益1兆1112億円)
・第一三共
増収率:31.3%(四半期の売上収益4469億円)
・アステラス製薬
増収率:4.9%(四半期の売上収益4219億円)
製薬業界の4社では、中外製薬が前年同期比で減収、他3社は増収だった。
23年12月期通期では、2期連続で売上収益1兆円の大台を突破した中外製薬だが、最後の四半期は前年同期比で3割超の減収に陥った。
大幅減収の背景には、ある薬品の売り上げが大きく影響していた。その要因とは何か。
各社の増収率の推移を紹介するとともに、中外製薬の減収要因を詳しく解説する。