たとえば、ファーストリテイリングという会社があります。ユニクロなどの衣料品を扱う会社を傘下に持つ、持ち株会社です。積極的に海外展開をしており、世界のカジュアル衣料の売上は第4位です。

 ファーストリテイリングは、全世界で働く正社員すべてと役員の賃金体系を統一する「世界同一賃金」を掲げています。

 これは、日本企業だからといって日本人をひいき目にしていた評価基準を改め、どの国でもどこの国籍でも公平に評価するものです。

 欧米のグローバル企業では当たり前の制度ですが、日本人には馴染みがなく戸惑う社員もいたようです。

 ファーストリテイリングほどのグローバル企業で働く人は、まだ少ないとは思いますが、これから業績が上がっていくのは、世界と戦える力を持った企業が多くなります。

 その中で、こういった世界の流れを意識できるかどうかは、今後の働き方、生き方に影響を与えます。

 世の中の流れを意識しながら、自らのスキルを上げていく人と、目の前の仕事をただがむしゃらにこなしていく人の間には、やがて大きな差が生まれます。

 投資をしていると、日本経済についてだけでなく、世界の流れまで見えてくるようになります。

「貯金だけが安全な資産形成」思い込む人が知らない投資のルール『お金の動きに強くなる投資の入口』(長谷川伸一、総合法令出版)

 私の友人で株式投資を20年以上行っている男性がいます。突然、勤めていたIT企業が倒産し、失業してしまいました。

 しかし、彼は投資をしていたことで、世の中の流れを掴んでいたのです。彼は「癒し産業が伸びる」と考え、失業する前から整体師の専門学校へ入学して、整体のスキルを得ていました。今では自分の治療院を開業し、軌道に乗っています。

 彼は、投資をしていたことで、流れを読む力、職を失ったときの保障(生活費や開業費、学費)など、多くのものを得ていました。

 お金を増やす人は、世界の流れを敏感に感じ取ることができるのです。