米国の富裕層の間では、自国以外の海外資産を組み入れるグローバル投資の動きが、以前にも増して加速しているという。日本と海外の投資・経済を知り尽くした金融マン待望の初著書『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)では、富裕層がやっている国際分散投資を、一般の個人投資家に向けてわかりやすく解説! 投資バランスは「保守:積極:超積極=5:3:2」、1銘柄の投資額は資産全体の4%以内で、資産全体の2割は現金買付余力に――など、「これならできそう」「続けられそう」と思えるグローバル投資の秘訣を明かした1冊だ。本稿では、本書より一部を抜粋・編集し、グローバル投資の極意をわかりやすく伝授する。
「ADR」って、なに?
全世界の投資家が熱い視線を送るグローバル株の大半は、ADR(米国預託証券)市場に上場しており、日本でもネット証券などで米国株とほとんど同じ感覚で買えます。
ADRは米国以外の国で設立されたグローバル企業が発行した株式を裏づけに、米国で発行される有価証券です。
ADRは厳密には株式ではありませんが、投資家は株式を保有するのと同じ権利が得られます。
「2大テーマ」に投資せよ
私がグローバル投資におすすめしたい銘柄トップ10銘柄のセクターはさまざまですが、いずれもこれからの世界の経済と社会でますます重要になる「2大テーマ」に関わっているという共通点があります。
1つ目のテーマは、「社会的インフラ」です。コロナ禍では、医療や介護福祉、教育、公共サービス、物流、コンビニやドラッグストアといった小売業など、いわゆる「エッセンシャルワーカー」の大切さにあらためてスポットライトが当たりました。
社会的インフラを担う企業は、国際社会におけるエッセンシャルワーカーのような存在で、「生活必需品」「資源」「IT」「保険」などに関わっています。
この先、経済と社会がどのように変化しても、地球規模で社会的インフラを担うビジネスの重要性と成長性はこれからも揺るがないでしょう。
貧富の二極化が進む
「K字経済」
2つ目のテーマは、経済格差の広がりによる富裕層と貧困層の二極化、いわゆる「格差社会」の本格化です。
1980年代から、世界的に富裕層への富の偏在が顕著になり始めました。現在では、世界の上位1%の超富裕層が、世界全体の個人資産の4割近く(37.8%)を占めているとされます。
特に格差をめぐる状況が先鋭化している米国では、富裕層と貧困層の収入や貯蓄が、アルファベットの「K」のように上下に開く“K字経済化”が進んでいます。
株や不動産の上昇を通じて
「持てるもの」がより有利に
民主党のジョー・バイデン大統領は、強い中間層の復活を掲げて登場しましたが、コロナ禍を経て格差はむしろ広がっているのです。
戦後の高度経済成長期には、「1億総中流社会」といわれていた日本でも、高度成長の終わりとバブル崩壊を経て二極化が進行しています。
富裕層向けのビジネスは
今後さらに拡大する
2005年には「富裕層」、翌2006年には「格差社会」が、「新語・流行語大賞」のトップテン入りを果たしました。
2003年には、「年収300万円」が同じくトップテン入りしましたが、20年後の2022年には『年収200万円で豊かに暮らす』というタイトルのムック本が出て賛否両論を巻き起こしました。
二極化は決して好ましいことではないのですが、富裕層にラグジュアリーな商品・サービスを提供するビジネスは、今後もいっそうの拡大が予想されます。
※本稿は、『個人投資家もマネできる 世界の富裕層がお金を増やしている方法』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。