人々は初めて買った車を懐かしむが、そうした楽しい思い出には重要な側面が恐らく見過ごされている。大抵の場合その車はがらくたに過ぎず、自動車ディーラーは見向きもしない、ということだ。1976年にさかのぼると、米国の道路を走る車の平均車齢は6.2年と短く、新車販売台数は自動車登録台数の10%近くを占めていた。平均車齢が2倍になった2019年の時点では、車を従来よりも長く保有したり、新車よりも中古車を選んだりする消費者が増えた。その頃には、新車が登録台数に占める割合は6.4%にまで低下していた。車が飛ぶように売れ、車両はすぐに陳腐化するという、ディーラーが懐かしむ日々を、電気自動車(EV)は再びもたらすのだろうか。EVはある意味、携帯電話に似ている。基盤となる技術は急速に進歩し続け、搭載されている電池は時間の経過とともに劣化し、製品価値はすぐに低下する。