今、海外投資ファンドが熱視線を送る日本企業がある。大手下着メーカーのワコールホールディングスだ。同社の株価は近年大きく上昇している。一方で、直近の業績は2期連続の「営業赤字」。業績が振るわないのに、株価が上昇し、海外投資家にも注目されているのはなぜなのだろうか。(株式会社Mutual代表取締役 吉田有輝)
ワコール株を買い増す
海外投資ファンド
2024年6月、アクティビスト(物言う株主)として知られるシンガポールの投資ファンド、3Dインベストメント・パートナーズ(以下3D)が、ワコールホールディングス(以下ワコール)に係る大量保有報告書を提出した。
7月17日時点でのワコール株式の保有割合は10.76%であり、保有目的の欄には「純投資及び状況に応じて経営陣への助言、重要提案行為を行うこと」とある。現時点では、特段3Dによるキャンペーンや株主提案などは公表されていないが、水面化でワコールの経営陣と対話を行っているはずだ。
そんなワコールだが、2期連続で営業赤字を計上していながら、株価は2022年以降大きく上昇している。
なぜ、このようなことが起きているのか。3Dが大きく投資している理由はどこにあるのか。
ワコールの決算書を基に、その実態をひもといていく。