富士通Photo:Nathan Stirk/gettyimages

2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回は富士通、NTTデータなど「ITベンダー」業界4社について解説する。(ダイヤモンド編集部 笠原里穂)

通期決算で明暗分かれたITベンダー
富士通が営業利益大幅減となった理由とは?

 企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下のITベンダー業界4社。対象期間は24年1~3月期としている。

 各社の増収率は以下の通りだった。

・富士通
 増収率:3.4%(四半期の売上収益1兆1133億円)
・NTTデータグループ(※)
 増収率:9.9%(四半期の売上高1兆1912億円)
・野村総合研究所
 増収率:5.9%(四半期の売上収益1865億円)
・NEC
 増収率:3.9%(四半期の売上収益1兆840億円)

※旧NTTデータは23年7月1日付で「NTTデータグループ」に社名を変更し、持ち株会社制に移行した。

 24年1~3月期ではいずれも前年同期比増収となったITベンダー4社だが、23年度(24年3月期通期)の業績では明暗が分かれた。

 4社とも前期比で増収となったものの唯一、富士通は営業利益が減益に陥った。それも前期比52.2%減の大幅減益だ。

 一方で、NTTデータグループの営業利益は前期比19.5%の増益となっている。明暗が分かれた要因は何だったのか。

 次ページでは、各社の増収率の推移を紹介するとともに、富士通、NTTデータグループの業績について解説する。