2020年に始まったコロナ禍による落ち込みを脱した日本経済。ただ、元通りになったわけではない。デジタル化や脱炭素の潮流が加速し、円安や物価高の影響も続く。その結果、企業によって業績の明暗が分かれている。格差の要因を探るべく、上場企業が発表した直近四半期の決算における売上高を前年同期と比べ、各業界の主要企業が置かれた状況を分析した。今回はSGホールディングス、ヤマトホールディングスの「物流」業界2社について解説する。(ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
SGHDは増収、ヤマトは減収
通期決算はそろって減収減益
企業の決算データを基に「直近四半期の業績」に焦点を当て、前年同期比で増収率を算出した。今回の対象は以下の物流業界2社。対象期間は2024年1~3月期としている。
各社の増収率は以下の通りだった。
・SGホールディングス(佐川急便)
増収率:0.8%(四半期の営業収益3217億円)
・ヤマトホールディングス
増収率:マイナス3.2%(四半期の営業収益3918億円)
物流業界の2社では、SGホールディングスが前年同期比でわずかに増収、ヤマトホールディングスが減収となった。
24年1~3月期は、24年3月期の最終四半期に当たる2社。いずれも、24年3月期通期の決算は減収減益だった。
SGホールディングス、ヤマトホールディングスともに営業利益は前期比約3割の減益となっている。
トラックドライバーの時間外労働時間の上限規制、いわゆる「2024年問題」が直撃している物流業界。SGホールディングス、ヤマトホールディングス両社とも運賃の値上げに取り組むが、物価高などを背景にコストもかさむ。足元の業績は苦しい状況だ。
次ページでは、2社の増収率の推移と、24年3月期の業績を分かりやすく紹介する。