「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
慎重派・反対派の声は
少なからずあるもの
リーダーがいかに新規事業の意義を明確にして伝えたとしても、社内からは「そんな事業に投資しても無駄ではないのか」「失敗したらどうする」という慎重派・反対派の声は少なからずあがってくるものです。
もちろん、そうした声に耳を傾けつつ理解を求めることも必要ですが、実際のところ反対者を1人も出さずに全会一致で進められることは、そうそうないでしょう。
そもそも、全員賛成しないと何もできないというのでは、組織としてまっとうな姿とはいえません。
上位者や外部との
関係を構築する
反対派がいるなかでも、組織の承認を得て進めることもありますが、そのときには上位のポジションにいる人や組織外の支援があると力強いです。
11代薩摩藩主の島津斉彬も、父・島津斉興を含む反対派からの反論に直面しながらも、江戸幕府の支援があったからこそ薩摩藩主になれて、1850年代に興した「集成館事業」を進めることができたのです。
いざというときに支援を得るには、日ごろから上位者や外部との関係を構築することも大事です。また、新規事業に必要なスキルやノウハウをもつ人材が、社内にいないことも多いです。
求められるリーダーの役割
すべてのリソースを社内で調達することも考えられますが、協力を得られそうな社外のパートナーと関係を築くことも、リーダーの役割です。それが結局は不必要な時間や出費を節約することにもつながります。
薩英戦争(1863年)に敗北し、イギリスの軍事力を目の当たりにして、西洋化を進めた薩摩藩は、イギリスから技術者を招いたり、オランダの機械を導入したりと、集成館事業を発展させました。
このような他国との連携も、斉彬の遺志を継いだ薩摩藩主・島津忠義(1840~97年)や、その父で最高権力者だった島津久光のリーダーシップがあったからです。
外部の力を上手に利用する
以前は注文住宅専業だった売上高100億円規模のハウスメーカーでは、新規に建売住宅事業を立ち上げるにあたり、そのノウハウがある外部のコンサルティング会社から支援を受けました。
コンサルティングフィーはかかるものの、結局はスピード感を持って建売住宅事業を立ち上げて、軌道に乗せることができました。
コンサルタントである私がいうとポジショントークのように思われるかもしれませんが、すべてを自社内で進めようとせず、外部の協力を上手に得ることも、リーダーシップの1つの要件なのです。
1. 新規事業の意義を明確にしてメンバーに伝える
2. 反対派に理解を求めるために社内だけでなく社外との関係を構築
3. 自社に足りないものがあれば外部の協力を得る
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。