「仕事が遅い部下がいてイライラする」「不本意な異動を命じられた」「かつての部下が上司になってしまった」――経営者、管理職、チームリーダー、アルバイトのバイトリーダーまで、組織を動かす立場の人間は、悩みが尽きない……。そんなときこそ頭がいい人は、「歴史」に解決策を求める。【人】【モノ】【お金】【情報】【目標】【健康】とテーマ別で、歴史上の人物の言葉をベースに、わかりやすく現代ビジネスの諸問題を解決する話題の書『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)は、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康、伊達政宗、島津斉彬など、歴史上の人物26人の「成功と失敗の本質」を説く。「基本ストイックだが、酒だけはやめられなかった……」(上杉謙信)といったリアルな人間性にも迫りつつ、マネジメントに絶対活きる「歴史の教訓」を学ぶ。
※本稿は『リーダーは日本史に学べ』(ダイヤモンド社)より一部を抜粋・編集したものです。
相手の立場を考えて
発言できているか?
反対意見など、なんらかの否定的な意味が含まれる発言をするときには、「それは目標実現に向けて必要な発言なのか」を一度考えてみましょう。
西郷隆盛は、幕府と朝廷との関係に、薩摩藩が関わることを止めることが目的だったはず。そうならば、わざわざ目上の島津久光に対して、軽はずみに「地五郎(田舎者)」などという言葉を使わず、なぜ関わることが無駄なのかを丁寧に説明すべきだったのです。
会社の会議でも、自分が賛同できない意見に対して、建設的ではない感情的な批判をする人がいます。このようなとき、一度立ち止まって、相手の心中を察する余裕をもたなくては、単に相手の心証を害すだけで組織にとってプラスに働きません。
反発を招くだけの
批判のための批判
言葉を選びながら、「こうしたら、よくなるのでは?」という方向で建設的に反対意見を述べる。
いずれにしても、「自分が絶対正しい」ことを証明して、自己顕示欲や自己承認欲求を満たしたいという心理から、「批判のための批判」になってしまうことは避けなくてはなりません。
それでは、異なる意見の人の反発を招くだけで、むしろ組織の目標を実現する障害にさえなりかねません。
リーダーを演じる
役者になろう
発言する前に、この発言が自分の目的をとげるために有効なのか、相手の反感を買って、むしろ実現の障害となるのではないかと、冷静に考えることが大事です。
そのためには、目標の実現に向けて“役を演じる”意識をもつことが役立ちます。これについては、私が経験した次のようなエピソードがあります。
私が、売上高4兆円規模の大手自動車部品メーカーにコンサルティングで入ったときのことです。かなり若くして出世し、高い役職に就いている人がいました。その人は将来の役員候補と目されていましたが、その後、実際に最年少で役員となっています。