「朕は国家なり」のルイ14世も気を遣った?フランス絶対王政が勝手放題できなかったワケPhoto:Print Collector/gettyimages

かつて学んだ世界史や日本史。その知識が、実は“時代遅れ”になっているかもしれない。日々歴史は研究され、再評価が行われている。その中で、「歴史の常識」もアップデートされているのだ。例えば、近世ヨーロッパ史のキーワード「絶対王政」も近年、世界史の教科書上の扱いが変化しているテーマの一つ。実は絶対王政は“絶対”ではなかったのだ。どういうことなのか。その背景をひも解いていこう。(世界史講師 伊藤 敏)

世界史の教科書は
アップデートされている

 2022年、高等学校教育は転機を迎えた。この年度より新課程が適用され、各科目でさまざまな変更が施されたのだ。

 中でも社会科では、

(1)「日本史A」「世界史A」の廃止 → 新科目である「歴史総合」の設置
(2)「日本史B」「世界史B」の廃止 → それぞれに代わる「日本史探究」「世界史探究」の設置

 といった変化があった。

 今回の新課程の適用で、教科書にも大幅な変更が生じた。ただ、教科書の記述に関していえば、この新課程適用に限らず、ここ20年ほどの期間だけでも内容は確実に変化している。

 その一例が、「絶対王政」だ。世界史を学んだことがある人はもちろん、そうでない人も、このワードは聞き覚えがあるかもしれない。

 実は、この絶対王政の教科書上の扱いは、大きく変化している。どういうことなのか。