独学力#6
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特集『あなたの人生を変える!「独学力」』(全10回)の#6では、博識で知られるライフネット生命保険創業者の出口治明氏が、「独学のための世界史」の講義を引き受けてくれた。出口氏は、世界史の中から現代の礎を成す「四つの分岐点」をピックアップ。その一つが、世界史の教科書でそれほど大きな扱いを受けない「13世紀モンゴル帝国」だというが、その理由とは?(寄稿:ライフネット生命保険創業者 出口治明)

「週刊ダイヤモンド」2017年10月7日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの

出口治明氏が解説
世界史「4つの分岐点」とは?

 歴史を学ぶことは、自分たちの足元を見詰め直すことでもある。

 近現代の礎を成しているものは何か。「産業革命」と「ネーションステート(国民国家)」という二つのイノベーションだと思う。

 国民国家という新しい国の姿が生まれるきっかけは、フランス革命だった。

 歴史をたどってみよう。フランス革命は1789年に勃発した。王政が廃止され、共和政に移行すると、これを目の当たりにした欧州の全ての君主国が、このフランスを敵視するようになった。

七月革命を描いたドラクロワの作品
1830年の七月革命を描いたドラクロワの作品。フランス革命の精神が息づいていた Photo:AFLO

 そこで、三色旗や「自由・平等・友愛」のスローガン、国歌「ラ・マルセイエーズ」を作り、革命指導者たちは「われわれがつくった、君主のいない、この新しい国家を敵から守ろう」と、ビラや新聞を大量に配って市民に訴えた。

 この訴えが思わぬ求心力を生んだ。人々の間に「同じフランス市民、同じフランス国民」という意識が生まれてきたのだ。名著『想像の共同体』で指摘されたように、それまで全くなかったものが、人々の心の中でイメージされ、定着したのである。