この記事が出るころ、金融市場の投資家たちは、5日に世界の市場を襲った動揺を忘れることを選択しているだろう。その理屈は、政策が招いた一時的な混乱の後、世界の金融は落ち着き、危機という林を抜けたということのようだ。いや皆さん、われわれは森に迷い込む寸前だったのだ。なぜなのか。それは今週の最も重要な出来事が何だったかを理解する助けになる。ウォール街や欧州での株価の一時的な下落は、同じくらい不快ではあったが、最も重要な出来事ではなかった。最も重要だった、そして今も最も重要なのは、円相場の急激な上昇だ。円は今や、米国の商業用不動産に次いで、世界の緊急事態の引き金になり得るもののリストに加わった。「急激な」の部分を強調したい。円は7月上旬に38年ぶりの安値である1ドル=162円を付けた。今月5日には144円近辺まで12.5%急騰し、現在は147円近辺で安定しつつあるように見える。