拡大が続く米国の蓄電池市場では、大きな変革をもたらす可能性があるとしてナトリウムイオン電池に注目が集まっている。この電池を開発する新興企業ナトロン・エナジー(本社:カリフォルニア州)は、14億ドル(約2100億円)を投じてノースカロライナ州に同社初の大規模工場を建設する計画だ。 ナトリウムは手に入りやすく、電気自動車(EV)の動力源であるリチウムベースの電池よりも安価で安全な電池を製造できる鉱物として期待が高まっており、ナトロンなど一部の米企業が力を入れる。ナトロンはこれまでに投資家から約3億ドルを調達し、米政府の支援も受ける。 米国では2年前に気候変動対策の一環として「インフレ抑制法」が成立し、国内製造業への税額控除が盛り込まれた。これを受けて企業は米国でのEV・電池工場の建設に1000億ドル以上を投じると表明。ナトロンの技術に対しては、米国が独自の電池産業を整備し、電池や原材料に関する中国への依存度引き下げに寄与するとの期待もかけられている。