企業の決算に関して、不正やトラブルなどが報じられることがある。そんなとき、企業の中では何が起こっているのか。経理実務経験のある筆者が、“中の人”の苦悩を感じた会計ニュースを厳選して解説する。ニュースの背景に垣間見えた経理担当者の心情を解説するとともに、それぞれの“事件”から得られる教訓をお伝えしよう。(公認会計士 白井敬祐)
経理はつらいよ
中の人の苦労が見えた会計ニュース
経理部は、会社の数値を取りまとめ、経営方針の羅針盤となる数値を経営者に報告する役目を負う、会社にとって非常に重要な存在です。
しかし、世の中的には目立ちにくい部署であるのも事実……。それゆえに、世間では知られていない苦労もたくさんあります。
例えば、日々流れてくる企業の決算に関するニュース。経理経験者の視点で見ると時折、“中の人”の苦労や怒りが伝わってくるものがあります。今回から3回にわたって、そんな経理担当者の苦労が垣間見えた会計関連のニュースを3つ厳選して紹介したいと思います。
そこから得られる教訓は、経理部の方だけでなく、会社の経営陣やあらゆる部署の管理職の方々の役に立つはずです。
監査法人に振り回されて大激怒!
スーパーいなげや“怒り”の適時開示
いなげやは、関東地方中心に展開するスーパーマーケットの大手チェーンで、東証プライム市場の上場企業です(イオンによる子会社化に伴い、2024年11月に上場廃止予定)。実は同社、23年11月と24年6月の2回にわたって、監査法人に振り回される災難に見舞われたのです。