2013年4月16日に、平成25年度予算案が衆議院を通過した。予算案には、生活保護基準引き下げ方針によって削減された生活保護費が含まれている。
今回と次回は、子どもの貧困問題・生活扶助相当消費者物価指数(生活扶助CPI)をめぐる衆議院予算委員会での議論を中心に紹介する。予算案が衆議院を通過する直前に、どのような議論が行われていたのだろうか? 現政権の閣僚・厚生労働省・総務省などは、どのような認識を表明していたのだろうか?
生活保護基準引き下げに
“ふつうの人”が抱くさまざまな感情
まず、2013年8月からの実施が予定されている生活保護基準引き下げについて、「世間の声」のいくつかを紹介する。
「生活保護基準が下がるったって、生活保護の人たちが、私たちの払った税金からおカネもらって、働かずに生きていけることには変わりないんでしょ? 減らされるといっても、おカネもらえるだけ、有難いと思ってもらわなくちゃ。ウチからヘルパーを派遣してる生活保護の障害者がいるんだけど、だいたい、ゼイタクすぎるのよ。都営住宅の、ふつうに賃貸で探したら家賃が10万円はかかる、きれいなバリアフリーの部屋に、家賃2万円で住んでるし。で、生活は、生活保護でしょ? 私たち、真面目に働いてるのがバカらしくなるわよねえ」(女性・40代・介護事業所経営)
「恥ずかしながら、ウチの長男は精神的にちょっと弱いところがありまして。高校は、県立の中堅の進学校に進学したんですけど、クラスメイトとの人間関係にちょっと悩んだみたいで。それから不登校になって、そのまま高校を中退してしまいまして。その後、通信制の高校に編入はしたんですけれど、勉強、してるんですかね? ええ、引きこもっちゃってるんです。『生活保護の家庭や貧困な家庭の子どもに高校中退が多い』という話があるそうですけど、年収800万円で専業主婦の妻がいる家庭でも、変わらないんじゃないですか? ウチだって、大変なんですよ」(男性・40代・管理職)
「生活保護基準って、どういうふうに決まっているのか、実は良く知らないんですよね。でも、生活保護の人たちは、正直、『もらい過ぎ』だと思います。ムカつきますね。『ダイヤモンド・オンライン』の『生活保護のリアル』っていう連載は、著者が生活保護基準引き下げに反対なのが気に食わないんですけど、一応、読んでます。確か、厚生労働省に『生活保護基準部会』ってのがあって、そこで、偉い先生たちが議論して生活保護基準を決めるという話なんですよね。『貧乏な人の生活費が1ヵ月にどれくらいか』とか『貧乏な人は、何をどのくらい買っているか』とか調べて、何か難しい計算をした話が出てました。でも、今までと違う方法が出てきた話といえば、その難しい計算くらいでした。
それから、あの著者が怒ってる『生活扶助相当CPI』っていう、貧乏人の物価は下がっているんだから、というアレ。どっちも、だから『生活保護費を引き下げていい』とまで言えるかどうかは、僕にも良くわかりませんでした。そもそも背景となる調査がちゃんとされているのかどうか、僕も気になってはいるんです。でもまあ、自公政権になったんだから、しょうがないですよね。引き下げに文句言わないでほしいです。生活保護の人たちとか、その人たちを支援している人たちの、自己責任なんですから」(男性・30代・エンジニア)
いかにも、「あるある感」のある意見ではないだろうか?