企業の決算に関して、不正やトラブルなどが報じられることがある。そんなとき、企業の中では何が起こっているのか。経理実務経験のある筆者が、“中の人”の苦悩を感じた会計ニュースを厳選して解説する。3回連続でお送りするシリーズの最終回は、中古車販売企業で起こった大胆過ぎる不正会計についてお伝えする。(公認会計士 白井敬祐)
中古車販売会社で常習化していた
大胆過ぎる不正とは?
今回は、愛知県にある中古車販売業を営む会社、グッドスピードで起こった問題を紹介したいと思います。グッドスピードは、2019年に東証マザーズに上場した企業です(その後、24年5月に宇佐美鉱油の子会社となったことから上場廃止)。
実は今年1月、この会社が18年9月期から、22年9月期第3四半期まで約6年弱にわたって不正を働いていたことが明らかになりました。
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不正が明るみに出るきっかけは、金融庁の公益通報窓口に「グッドスピードが不正をしている」という通報があったことでした。その連絡を受けた金融庁は、グッドスピードを担当している監査法人に連絡、協議を行い、当該監査法人がグッドスピードに対して第三者調査委員会を設置して不正調査をするように強く要求しました。
そして、今年1月、第三者調査委員会による調査報告書が公表され、グッドスピードが約6年弱にわたって、売り上げの先行計上などの不正を常習的に行っていた事実が判明したのです。