10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売になった。本書を抜粋しながら、家庭でも取り入れられるそのノウハウを紹介する。

【算数オリンピック入賞者輩出の塾長が語る】似ているようで全く別モノ!「教育熱心」と「教育虐待」の違いPhoto: Adobe Stock

「教育熱心」なのか「教育虐待」なのか

教育セミナーなどで、彦根のりんご塾に通うために、東京や埼玉などの遠方から通う親子がいると言うと、びっくりされることがあります。
「そうやって子どもの才能を引き出す人はいるんだろうけど、ちょっとやり過ぎじゃない?」と。

たしかに、わざわざ数時間かけて毎週塾に通うというのは、なかなかのことです。お金も時間もかかりますし、その分、家でゆっくりする時間は削られるでしょう。だから人によっては「それは教育虐待に近いのでは」と感じることもあるようです。

しかし、実は遠くから通う親御さんの中に、そういう人はほとんどいません。

だって、ものすごく自由じゃないですか。
数十分の授業を受けるために何時間もかけて来るなんて。セレブや芸能人が、「カニを食べたいから飛行機に乗って北海道まで行きました」と言っているのと同じくらい自由です。

埼玉から通っていた親子は、「この後、九州に行くんです。あるゲームの大会があるから。うちの子、そのゲームもすごく上手なんですよ」と言いながら、スーツケースをコロコロ転がして行きました。
またある親子は、帰りに琵琶湖でボール遊びをして帰るのが恒例でした。ちょっとしたイベントや旅行感覚で塾に通っていたのかもしれません。

つまり、距離は問題ではないのです。
「じゃあ、送り迎えするわ」という感じで、子どもがやりたいと言ったことや、子どものためになることに対してお金や時間を惜しまないというスタンスなのです。

そういうご家庭は、やっぱり明るいですよね。お子さんもハツラツとしているし、お母さんもピリピリした感じは一切ありません。学校も日本国内に限定していないから、開成に行こうか、アメリカに行こうかという感じで、行動範囲と視野が非常に広いのです。
こういうご家庭は、教育虐待とはほど遠いのではないでしょうか。

【算数オリンピック入賞者輩出の塾長が語る】似ているようで全く別モノ!「教育熱心」と「教育虐待」の違い『「算数力」は小3までに育てなさい』より

*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。