10年連続で算数オリンピック入賞者を輩出している彦根市発の知る人ぞ知る塾「りんご塾」。天才を生み出すそのユニークな教育メソッドを、塾長の田邉亨氏が初公開した書籍『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(ダイヤモンド社刊)が、このたび発売に。本書を抜粋しながら、家庭にも取り入れられるそのノウハウを紹介する。
「予測できない問題」を楽しんで解く力
世界は今後、AIによる大転換期に突入していきます。
AIの発展によって、今ある職業はどんどん淘汰されていくと言われています。ルーティン作業はもちろん、弁護士や税理士など「士業」と呼ばれる膨大な知識を暗記するような職業の一部も、今後はAIに取って代わられてしまうでしょう。
また、AIと人間の共存を模索する過程においては、予測できない問題も噴出すると考えられます。
つまり、今後は次のような時代がやってくると想定されるのです。
□知識があるだけでは生き残れない
□To Doで乗り切っていたことが通用しない
こんな時代、社会で活躍するために必要なのはどのような力でしょうか?
それが、算数力。すなわち「考えることが好きな力」です。
仕事や人生のトラブルも解決できる
りんご塾の子どもたちは、算数オリンピックに挑戦していますが、そこで出される問題には大きな特徴があります。
それは、初めて見る問題が多いということ。
進学塾に通っている子どもたちは、「こういう問題が出たらこういうふうに解く」という訓練をずっとしています。一部の最難関中学を除けば、パターンを多く暗記しているほど正解できるし、合格の可能性も高まります。
ところが、算数オリンピックでは、そのような定石が通用しません。人から知識を与えられて解ける問題ではないというか、「えぇ……!?」と、思わず頭を抱えてしまう問題しか出ません。
でも、子どもはそれが楽しいのです。
「なんだこれ!?」
「よーし。どう考えればいいのかな?」
そうやって頭をひねりながら、解くこと自体を楽しんでいるのです。
これは非常に強いです。
1人で初見の課題に取り組んで解決できる。
こんな人材は、仕事や人生で、どんなトラブルが襲ってきても乗り越えることができるでしょう。
しかも、それが苦ではない。「どうすればいいか」を楽しみながら考えることができるのです。稼ぐ力はもちろん、たくましく生きていく力があります。
これこそが、今後の世界で活躍するために、もっとも重要な力だと私は思います。
*本記事は、『10年連続、算数オリンピック入賞者を出した塾長が教える 「算数力」は小3までに育てなさい』(田邉亨著・ダイヤモンド社刊)から抜粋・編集したものです。