子どもたちが生きる数十年後は、いったいどんな未来になっているのでしょうか。それを予想するのは難しいですが「劇的な変化が次々と起きる社会」であることは間違いないでしょう。そんな未来を生き抜くには、どんな力が必要なのでしょうか? そこでお薦めなのが、『世界標準の子育て』です。本書は4000人を超えるグローバル人材を輩出してきた船津徹氏が、世界中の子育ての事例や理論をもとに「未来の子育てのスタンダード」を解説しています。本連載では、船津氏のこれまでの著書から抜粋して、これからの時代の子育てに必要な知識をお伝えしていきます。

世界標準の子育てPhoto: Adobe Stock

プログラミング教室へ通わせるべきか?

 最近は子ども向けのコンピューター教室、プログラミング教室、ロボット製作教室など、STEM関連の習い事も増えてきています。

 子どもが興味を持っている場合、このような習い事に参加させるのも手です。

 ただし、他の習い事と同じように、大切なことは基本的な知識と技能を家庭で教えておくことです。

 家でコンピューターをさわったことのない子どもをプログラミング教室に入れても、子どもは楽しむことはできません。知っているから楽しめるのです。

 まずは家庭でタイピングを教えたり、音楽制作ソフトで音楽を作ってみたり、映像を加工してみたり、動画を取り込んでみたりと、コンピューターを使うことに慣れさせることが先決です。

 また、教室に通わせても丸投げはいけません。

 家族でどんなことを習ってきたのかを共有して、さらに発展させていくことを実践してもらうように導きます。

 どんな習い事もそうですが、教室任せでは子どものモチベーションを維持させるのは難しいのです。

算数の基礎が理系思考につながってゆく

 子どもがICTの分野で強みを伸ばしていくのに欠かせない能力があります。

 それは、算数です。プログラミングやシステム作りには、数式を使った論理力があってより大きな力を発揮できます。

 そこで、家庭で算数の練習問題に取り組ませ、小学校時代に算数を得意にしてあげることが近道です。

 計算力の目標は「3学年先」です。小学3年生までに6年生の計算を教える、というイメージになります。

 そんなの無理なのでは? と思うかもしれませんが、数を扱う算数の場合は、教え方次第でいくらでも先取りができるのです。

 ただし、こちらもやはりレベルに合わない難しすぎる問題をやらせたり、苦行になりそうなほどの量をやらせてはいけません。1日15分程度で終わる量が望ましいです。

 また、算数を日常生活の場面で使うことを教えてあげてください。

 買い物に行く時にグラム表示の食肉や野菜の金額を計算させたり、スーパーまでの距離と歩く時間から到着時刻を予測させてみたり、10%割引きクーポンを使うといくら得になるのかを計算させたり、買ったモノの合計金額の概算を親子で予測したり、消費税が加算されると合計いくらになるのかを考えさせたり、といった遊びをします。

 また、同じ商品でも買う量が違うと価格が変わることがあります。

 250ミリリットル入りのジュースを100円で買うのと、同じジュースを1リットル350円で買うのとではいくら割安になるのか? といったことも数字遊びになります。

 さらに子どもの身長や体重を測って、様々なものと比べさせてみます。

 自分の体重は30キロ。10キロのお米と自分の体重の比率はどれくらいか。自分の身長は1・2メートル、30センチのネギが何本あれば身長と同じ長さになるか。子どもの一歩の歩幅は身長×0・45、では自分の一歩の歩幅は何センチか。さらに、スーパーから家まで800メートルだと、何歩必要になるか?

 このように、日常生活の中で親子の遊びとして取り入れることが重要です。

 賢い親たちは、日頃から子どもたちの興味を刺激しながら数字に強い子どもを育てています。

Points 家庭での算数教育の基本
・算数は「3学年先の内容」を目標にドリルなどに取り組ませる
・ただし、1日15分程度で終わらせられる量と難易度で
・日常的に「計算問題」を出し、楽しく考えてもらう