富裕層――資産を多く持つ彼らは“憧れ”を抱かれることも多い存在だ。しかし、資産があるからといって「いいことばかり」ではない。富裕層ならではの問題が多数存在する。“資産があるからこそ”の悩みとは何か。長年、富裕層の資産管理に携わってきた筆者が解説する。(アレース・ファミリーオフィス代表取締役 江幡吉昭)
富裕層もつらいよ……
資産があるからこその悩みとは
資産があると周りの人からは「お金持ちでいいですね」となりますが、実際はそうでもありません。資産があればあるだけ、それに伴うリスクやトラブルが少なくないからです。
例えば、資産家と言うと誰でも身近にパッと思い浮かぶのが、地主です。しかし、地主は「土地はあるけど金はない」状況であることが多く、「資産家」かもしれませんが「お金持ち」ではありません。
それ以外にも、資産を多く持つ富裕層ならではの困りごとについて見ていきましょう。
富裕層のお悩み(1)
相続争いリスクが高すぎる!
最も厄介な問題の一つが、相続争いです。特に家庭環境が複雑な場合には、そのリスクは増大します。
例えば、夫に「妻とは別に内縁の妻」がいたり、離婚をしており「前妻の子どもと後妻」がいたりする状況です。会社経営者によくあるパターンです。また、婚外子が存在するケースも少なくありません(ちなみに厚生労働省の人口動態調査による「人口動態統計」によると、2022年に生まれた子ども全体のうち2.3%は非嫡出子であり、1950年代並みに増大しています)。