「あなたの会社はZ世代に嫌がられるような採用活動をしていませんか?」――そう語るのは、ワンキャリア取締役の北野唯我さん。「常に人手不足」「認知度が低い」「内定を辞退されてしまう」「外資系との給与差が開いている」といった多くの採用担当者、経営者の悩みを解決するため、北野さんが執筆したのが、著書『「うちの会社にはいい人が来ない」と思ったら読む 採用の問題解決』です。これまで属人的で全体像が見えなかった採用活動を構造化し、3000社以上の企業の採用支援実績、180万人の求職者のデータに基づいた「新しい採用手法」を紹介した一冊です。この記事では、本書より一部を抜粋・編集して紹介します。
人が企業を見る「3つのメガネ」
「企業イメージが強い会社」。この究極のゴールを実現するためには何が必要なのか。
前提として、企業イメージは、3つの観点で構築される。
・IR(Investor Relations):
投資家とのコミュニケーションや関係構築
・PR(Public Relations):
自社の取り組みや考えの発信、事業を通じた体験提供
・HR(Human Resource):
人材育成や労働環境への投資と関係構築
人が企業を見るとき、この3つのメガネを通じてイメージを構築しているわけだ。企業イメージを「つくる」ときの戦略も考え方は同じだ。IR、PR、HRの「どこに」「どういう」メガネをかけてもらうかを設計し、実行する必要がある。
キーエンス、サントリー、リクルートの強さ
企業イメージはこのIR、PR、HRの観点のどこかを「起点」にして形づくられる。
3つそれぞれ、「企業イメージが強い会社」にはどんな例があるか、具体的に見てみよう。
・「IR」が強い会社
業績主導企業。財務情報(=IR)、投資家からの評価など、主に財務3表や決算書類に載る情報に圧倒的な特徴がある。評判内容は「儲かっていますね」「伸びていますね」「株主還元していますね」。
例:キーエンス
・「PR」が強い会社
事業・マーケティング主導企業。自社の本業やマーケティング活動を通じたクライアントやユーザーからの評価が高い。評判内容は「サービス/商品のファンです」「企業ビジョンやミッションに共感しています」「企業スタンスを応援しています」。
例:サントリーホールディングス
・「HR」が強い会社
人材輩出企業。従業員や求職者、退職者などの労働市場からの評価が高い企業。評判内容は「◯◯出身者は優秀」「人が魅力的」「◯◯の人は給与や市場価値が高い」。
例:リクルートホールディングス
そして近年では、この3つは連動する傾向が強まってきている。
背景には、人的資本開示がある。すなわち、「HRへの成果や取り組みを、IR上でステークホルダーに開示すること」は上場企業ではマスト条件になった。また、SDGsの観点(PR)を投資基準に入れる機関投資家も一定数出てきている。これを私は「IR・PR・HRの三位一体化」と呼んでいる。そして、この流れは今後も加速していくと予測している。