正解:買うならポートフォリオN

Nは時価総額がすべて4兆円以上、業種のバランスが良い

 ポートフォリオNは、日本を代表する超大型株ばかり。財務や収益力に大きな問題はないと考えられます。

株のプロが教える高配当投資「理想的なポートフォリオvs危険なポートフォリオ」ポートフォリオN。実在する銘柄をモデルとして作成。メガ銀行の自己資本比率はBIS基準ベース

 メガ銀行の自己資本比率(BIS基準)が16.2%と低く見えますが、問題ありません。

 銀行業はBIS基準で自己資本比率が8%以上あれば問題ないとされます。BIS基準で16.2%あるので、銀行業としては財務良好と判断されます。

 実際にこのメガ銀行は、株主への利益配分の一環として、自社株買いを積極的にやっています。自己資本にゆとりがある証です。

 さらに、5つの異なる業種に分散されています。

 総合商社は景気敏感株ですが、食料品・医薬品・メガ銀行・情報通信の4銘柄はディフェンシブ株です。

 配当利回りの高いディフェンシブ株を中心とした、業種分散の効いた良いポートフォリオです。

Mは時価総額が小さい銘柄ばかりで、業種のバランスが悪い

 ポートフォリオMについても、きちんと財務分析すれば問題ない銘柄もあると思います。

 ただし、財務について詳しい情報がわからない以上、時価総額の小さい銘柄には不安があります。

株のプロが教える高配当投資「理想的なポートフォリオvs危険なポートフォリオ」ポートフォリオM。実在する銘柄をモデルとして作成。メガ銀行の自己資本比率はBIS基準ベース

 銀行・不動産・専門商社・建設・証券の5業種に分散していますが、どれも利益が不安定な業種です。

 メガ銀行・大手不動産・大手総合商社ならば収益が安定しますが、小規模の銀行・不動産・専門商社は安定しません。建設業も証券業も、利益は安定的とは言えません。

 このクイズを作ってから3ヵ月後、ポートフォリオMの銀行から、赤字・無配に転落すると発表がありました。米国のオフィスローンに多額の貸倒引当金の計上が必要になったためです。

 予想配当利回り5.9%だったのに、いきなり無配となったため、株価は発表の翌日33%下落しました。

 時価総額の小さい高配当利回り株には、このようにさまざまなリスクがあります。

(本稿は、『株トレ ファンダメンタルズ編』から抜粋・編集したものです。)