この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回は「野菜パウダー」について解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】便利な「市販の野菜パウダー」。本当に栄養ある? 実はあまり無い?Photo: Adobe Stock

野菜嫌いのお子さんには、野菜パウダーがおすすめ

 お子さんの野菜嫌いにお困りの方も多いことでしょう。
 そんなときに試していただきたいのは、野菜パウダーです。ほうれん草や小松菜、にんじんなど、子どもが苦手な野菜が粉になっているもので、少しずつ料理に混ぜれば、気にならずに摂取できます。野菜に含まれるビタミン、ミネラル、食物繊維がそのまま摂れるので、おすすめです。

 調理に手間のかかるごぼうのパウダーもあり、摂取することで善玉菌が増えたという研究もあります[*56]。
 子どもでの野菜パウダーの臨床研究は行われていないので断言できませんが、1日に3~4g(小さじ1杯強)くらい摂れると効果が期待できるでしょう。

有機野菜の栄養素が余さず摂れる

 野菜パウダーは何といっても、洗浄や加熱処理が不要で、野菜の栄養素がそのまま摂れるのが大きな魅力です。できれば、無農薬、有機野菜のタイプを購入しましょう。

 野菜パウダーは蒸気加熱されて粉末になっています。生の野菜なら捨ててしまう皮の部分も、すべて摂取できてしまうので、無農薬のタイプが安心ですね。

 そうはいってもなじみがないと、どう使えばよいのか迷いますね。取り入れ方のポイントは「混ぜる」「かける」の2つ。次に使い方の例を挙げますので、参考にしてみてください。

野菜パウダーの使い方 

 ●ハンバーグのタネに混ぜる
 ●カレー、シチュー、みそ汁などの汁物に混ぜる
 ●シリアルに混ぜる
 ●パンケーキやクッキーなどの生地に混ぜる
 ●インスタント食品に混ぜる
 ●アイスクリームにかける
 ●離乳食にも使える

 シチューなどに野菜パウダーを混ぜる際は、熱で変性しないよう調理が完了したら火を消して、盛り付けの直前に混ぜるのがおすすめ。50~60℃程度なら、栄養価はそれほど減らないでしょう。

 色が濃いパウダーの場合(ほうれん草や紫いもなど)、いつものパンケーキやクッキーに入れると、カラフルに仕上がります。入れる量によって濃淡の変化を楽しめますよ。

野菜をたっぷり食べられるスープ

 一気に野菜をたっぷり食べさせたい! そんな時におすすめのベジタブルスープをご紹介します。とっても食べやすいスープですよ!

◆ベジタブルスープ◆

材料(2人前)
● 玉ねぎ …… 1/4個(50g程度)
● キャベツ …… 200g
● カリフラワー …… 50g
● 野菜ブイヨン(固形) …… 1個
● 水 …… 400cc
● 塩、コショウ …… 少々
● オリーブオイル(できればエクストラバージン) …… 小さじ1

作り方
1
すべての野菜を小さく刻む。みじん切りほど細かくなくてOK。

2
鍋に水と野菜ブイヨンを入れ、1を加えて20分以上中火で煮る。

3
塩、コショウで味を整える。

4
食べる直前に、オリーブオイルを加えて完成。

ポイント
野菜の甘味が活きる野菜3種。
オリーブオイルを最後に入れることで、味わいがまろやかになります。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)

*56 Watanabe A, et al. Effect of Dose and Timing of Burdock (Arctium lappa) Root Intake on Intestinal Microbiota of Mice. Microorganisms. 2020; 8(2):220.