この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回は運動とたんぱく質について解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】子どもの脳画像でわかった「運動する子、しない子」の違いとは?Photo: Adobe Stock

食事と同じくらい「運動」も大切

 健康なカラダ作りに筋肉が必須というのは、みなさんご存じのとおり。その筋肉を作るためには、たんぱく質をしっかり摂取することが重要です。
 運動は筋肉のためだけではありません。運動をすることで、摂取したたんぱく質を構成するアミノ酸が脳に運ばれて、幸せホルモン、やる気ホルモンが作られます

 イギリスのオックスフォード大学では運動をすることで、

 脳に送られる血液が増える
 ↓
 脳の神経細胞である「ニューロン」の数が増える
 ↓
 ニューロンとニューロンをつなぐシステムが密になって増える
 ↓
 脳の働きが向上する

 以上のことが、子どもの脳画像で確認されました[*119,120]。

 また、スペインのグラナダ大学は、100人以上の8~11歳の子どもたちを対象とした研究を行っています。運動をたくさんすることで脳の、とくに海馬と前頭前皮質の灰白質(かいはくしつ)が物理的に大きくなり、記憶力、思考力、気分・情緒、集中力が上がったことが示され、「運動でBrain Power強化!」と発表されています[*121]。

 毎日、たんぱく質を十分に食べて、体をしっかり動かすことで、体はもちろん、脳と心もより健康になることが証明されています。
 ぜひお子さんの運動量にも注目してくださいね。

「運動+たんぱく質」で効率よくパワーアップ

 運動をする時は、たんぱく質を意識して摂りましょう。たんぱく質たっぷりのメニューをご紹介します。

◆ハッピーな卵焼き◆

材料(2人前)
● 卵 …… 4個
● 出汁 …… 大さじ5(粉末の出汁を溶かしたものでも可)
● きび砂糖 …… 小さじ2
● 醤油(できれば減塩) …… 小さじ2
● オリーブオイル …… 大さじ1~2

作り方
1

ボウルに卵を割り入れて、卵白を切るように菜箸で混ぜる。

2
オリーブオイル以外の調味料を1に入れて混ぜる。

3
フライパンを熱してオリーブオイルをひく。
卵液を少しずつ入れて巻いていく。

4
形を整えてできあがり。

 たんぱく質はもちろん、ビタミン、ミネラルも豊富なレシピです。しっかり補給していきましょう!

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)

*119 オクスフォード大学+フィールド臨床神経科学部.
https://www.ndcn.ox.ac.uk/research/fmrib-plasticity-group/research-projects/fit-to-study(2022年11月20日)
*120 Erickson KI, et al. Exercise training increases size of hippocampus and improves memory. Proc Natl Acad Sci U.S.A. 2011 Feb 15; 108(7):3017-3022.
*121 グラナダ大学. https://profith.ugr.es/activebrains?lang=en (2022年11月20日)