ロシアで最も危険な職業と言ったときに、科学者という答えはすぐには思い浮かばない。考えつくのは炭鉱労働者、あるいはバレンツ海の石油掘削施設で働く深海ダイバーかもしれない。いずれにせよ、こうした職業が危険であることは場所を問わない。ロシアではしかし、過去6年間で少なくとも12人の科学者が逮捕された。多くは高速空気力学や極超音速といった分野の研究に携わっていた。科学データをロシアの敵に渡した疑いで逮捕された学者もいる。直近のケースでは、科学者に15年の禁錮刑が言い渡された。ロシア政府の承認を得た上で他国との共同研究に参加し、逮捕された科学者もいる。逮捕者の一部は防衛部門に関連するプロジェクトや、基礎科学研究に携わっていた。