石破首相の所信表明、実現できるか
「物価上昇を上回る賃金上昇」
石破茂首相は10月4日に行った所信表明演説で、「一人一人の生産性を上げ、付加価値を上げ、所得を上げ、物価上昇を上回る賃金の増加を実現してまいります」と述べた。
6月に公表された岸田前政権時代の「経済財政運営と改革の基本方針2024」にも、「物価上昇を上回る賃金上昇を達成し、定着させる」ことが掲げられた。
石破政権は、岸田前政権の路線を継承し、「デフレ脱却」を経済政策運営の基本にして、実質賃金の引き上げを標榜(ひょうぼう)する。
現在は、急速な物価上昇に賃金上昇が追い付こうとしている局面にあり、実質賃金は2022年度からマイナスになっていたのが、ようやくプラスに転じかけているところだが(図表1)、先行き実質賃金がどこに落ち着くかは、結局、労働生産性の上昇率にかかっている。
さらに言えば、日本銀行の「物価安定の目標」(消費者物価上昇率2%)の持続的・安定的な実現のためにも生産性の向上が不可欠だ。
つまり、本気で生産性向上に取り組まなければ、結局、日本経済は変わらないということだ。