いまシリコンバレーをはじめ、世界で「ストイシズム」の教えが爆発的に広がっている。日本でも、ストイックな生き方が身につく『STOIC 人生の教科書ストイシズム』がついに刊行。佐藤優氏が「大きな理想を獲得するには禁欲が必要だ。この逆説の神髄をつかんだ者が勝利する」と絶賛する同書より、内容の一部を特別公開する。
今回は、ローマ帝国の皇帝として地上最大の権力を持っていたにもかかわらず、哲学者として生きたマルクス・アウレリウスの言葉を紹介しよう。彼は子どもをなくし、蛮族の侵攻や軍の反乱の対処に追われ、疫病が蔓延する憂き目にも遭いながらも、思いやりをもって他者を扱い、淡々と賢明な政策を打ち出すなど、内面の平静と自由を保ち続けた。その思考の原則がわかる言葉だ。
不運を高潔に耐える
それは、謙虚さや自由をはじめとする、あなたの本質が獲得し、あなた固有のものとして存在する性質のすべての妨げになるだろうか。
苛立ちを招くことが起きるたびに、この原則に立ち返ることを思い出せ。
「これは不運ではない。これを高潔に耐えることは幸運なのだ」と。
─―マルクス・アウレリウス『自省録』(第4巻49)
試練に誠実に向き合う
痛み、苛立ち、傷心、逆境に見舞われるときは必ずある。
そうした試練を乗り越えるために必要なものが自分に備わっていることに感謝し、運を呪ってはいけないというのがストイシズムの教えだ。
練習を重ねれば、知恵と誠実さで試練に向き合えるようになり、不運に見舞われても美徳を維持し続けられるようになる。
(本原稿は『STOIC 人生の教科書ストイシズム』からの抜粋です)