朝鮮半島は長い間「火薬庫」と呼ばれてきた。平時としては世界屈指の重武装地域だ。今のところは静けさを保っているが、韓国の防衛関連企業は世界的な軍事費増加の恩恵を受けている。第2次トランプ政権の誕生によって、この波は続く可能性がある。ストックホルム国際平和研究所(SIPRI)によると、世界の軍事費は2023年に前年比6.8%増となり、伸びが09年以来の大きさとなった。22年のロシアによるウクライナ侵攻は欧州諸国に安全保障戦略の見直しを迫った。さらに中東で緊張が高まったことで、各国はいっそう軍備増強に走った。そして今、ドナルド・トランプ氏の米大統領返り咲きが決まったことが、世界の軍事費の新たな押し上げ要因になる可能性がある。トランプ氏はウクライナや中東での和平の実現を求めているが、これらの地域では緊張継続の可能性が高いこともあり、そうした要請が軍事費の削減につながるとは限らないだろう。同氏はさらに、北大西洋条約機構(NATO)加盟国に対して軍事費を増やすよう圧力をかけ続けると予想される。