旅行に出かけた時に完璧な記念品を買おうとするのは賭けをするようなものだ。一生の宝物を手に入れることもあれば、永遠に逃れられないように感じる重荷を選んでしまうこともある。例えば、カリフォルニア州パロスベルデスにある筆者の自宅では、ソファーの後ろの壁にこの15年間、キューバから飛び立つニワトリ(ひよこ)の巨大な絵がかかっている。ハバナに滞在している時にはこの絵を安く買うことは良い選択のように思えた。夫の家族はキューバ革命後にこの国から逃れていたからだ。しかし自宅に戻り、縦約1.2メートル、横約2.1メートルの絵を壁にかけた時にはもう、空飛ぶニワトリは買った時ほど胸に迫るようには思えなかった。絵について感想を言った客はこれまで一人もいない。「ニワトリの絵についてはお役に立てません」。以前、絵を売る手伝いをしてほしいとお願いした美術商からはそう言われた。