サウジアラビアに巨大な未来都市「ネオム」を建設するプロジェクトが同国の頭痛の種になりつつある。コスト増加やスケジュール遅延に見舞われ、直近では6年間務めた最高経営責任者(CEO)が交代させられた。その背景には、世界最大の石油輸出国であるサウジが資金不足に陥っていることがある。サウジのムハンマド・ビン・サルマン皇太子は経済改革策「ビジョン2030」を掲げ、石油依存からの脱却を目指している。同国には資金が潤沢にあるとされるが、ビジョン2030に関連する華やかな大規模プロジェクトや経済イニシアチブの数々のための資金を捻出できずにいる。ネオムの取締役会はナドミ・アル・ナスルCEOを突如交代させた理由を明らかにしていない。ネオムの元従業員らによると、ナスル氏は膨れ上がる予算を巡って、ネオムの所有者であり資金提供者の政府系ファンド「パブリック・インベストメント・ファンド(PIF)」とたびたび衝突していた。遠隔地に巨大都市を建設するための砂漠の整地に数十億ドルが費やされている。
サウジ未来都市構想、国の資金不足でピンチ
野心的な計画を完全に実現するには、政府系ファンドの運用資産1兆ドルをはるかに上回る支出が必要
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