1日午前入試にも参入、難関校入りまであと一歩の「東京農業大学第一」(世田谷区)。4年後の竣工に向け、新校舎の増築も進む1日午前入試にも参入、難関校入りまであと一歩の「東京農業大学第一」(世田谷区)。4年後の竣工に向け、新校舎の増築も進む

首都圏にある中高一貫の男子校と女子校、埼玉・千葉・茨城・神奈川の共学校についてこれまで見てきた。東京共学校は、前回の23区東部と北部エリアに続き、今回は23区南部と西部エリアを取り上げる。2025年入試での人気上昇校が多いので、その動向に要注目だ。(ダイヤモンド社教育情報)

人気上昇校がひしめく城西エリア

 2025年中学入試は、中堅・中位校を中心に人気が上昇する傾向にある。6月から7月に実施された四模試(サピックス、四谷大塚、日能研、首都圏模試)の志望者数合計を前年同期と比べ、24年や23年入試での実倍率も参照しながら、前回は東京23区東部(江東区・墨田区・葛飾区・台東区)と北部(北区・板橋区・練馬区)の共学校について見た。今回は23区西部(世田谷区・杉並区・中野区)と南部(目黒区・品川区・大田区)の共学校の25年入試の競争状況を考えてみたい。

 今回対象とするエリアで、難関・上位校と呼べる学校はいくつかある。東京都立は桜修館中等教育学校(目黒区)と富士高等学校附属(中野区)が24年実倍率は4.23倍(女子は4.92倍)と3.42倍で、依然として高倍率を維持している。一方、東京学芸大学附属世田谷(世田谷区)は2.01倍(23年1.64倍、22年2.18倍)と、私立中堅共学校並みの競争状況となっている。

 私立共学校では、東京農業大学第一(世田谷区)の伸張が著しく、三田国際学園(世田谷区)の一部入試回、東京都市大学等々力(世田谷区)、國學院大學久我山(杉並区)がこのエリアでの上位校として挙げられるだろう。

 前回取り上げた東京23区東部と北部では、ブームが続く“湾岸系”とニューウェーブ“北区系”について触れたが、23区西部の“世田谷系”は、地元受験生の層の厚さと東急・小田急・京王沿線からやってくる区外受験生により実に盛況で、盤石のブランドとなっている。中学受験率が23区の都心部と遜色ない世田谷区の共学校から取り上げよう。“世田谷系”は、男女別学校以上に共学校の勢いが強い。おおむね難度が高い順に見ていこう。

 これまで1日午後の世田谷区といえば、男子校は東京都市大学付属、女子校は恵泉女学園、共学校は東京農業大学第一がいずれも初回入試として設定しており、1日午前の難関・上位校の併願先として人気だった。東京都市大学付属が一足先に1日午前に第1回入試を移し、25年からは東京農業大学第一も同じく1回目の入試を移すことになった。