この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」

といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回は味噌の重要性を解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。

【小児科医が教える】みそ汁を「1日1杯飲む人」と「1日2杯飲む人」。データでわかった意外な結果とは?Photo: Adobe Stock

「みそ」は毎日食べたい食材!

 みそは優れた発酵食品です。みそに善玉菌そのものが含まれていますし、みその麹菌の代謝物がさらに善玉菌のエサとなってさらに善玉菌が増えます。ぜひ毎日取り入れてください。

 みそ汁の具材には野菜を入れましょう。善玉菌と食物繊維を一緒に摂れるので、より腸活効果が上がります

 また、みそをディップ(生野菜などにつけて食べるペースト状のもの)として取り入れるのもおすすめです。みそ汁よりもさらに手軽でおやつにもぴったりです。

 最近では、出汁(だし)入りや液状のみそなど、時短につながるうれしい商品も登場しています。

 甘口、辛口など味わいの違いを楽しむのもよいですし、赤みそ、白みそといった色の違いでも食卓に変化が出ます。ちなみに、色の違いは糖とアミノ酸が反応して褐色に変化することで起こります。赤みそは仙台みそ、会津みそなど関東地方や東北地方に多く、白みそはおもに関西地方で見られます。東海地方には赤だし味噌もありますね。

 赤みそは白みそより発酵時間がより長いので、善玉菌がやや多く、赤みその色はメラノイジンという色素で抗酸化力が高いです。

みそは塩分が心配なんだけど……

 みそを作るときに塩を使うことから、みそ・みそ汁が塩分の摂取過多につながっていると長年思われてきましたが、それは昔の話。

 ある研究で、
・みそ汁を1日、0~1杯飲んだグループ
・みそ汁を1日、3~5杯飲んだグループ
・みそ汁を1日、6~15杯飲んだグループ

(期間はいずれも5日間)
 の血圧を調べたところ、違いが出ませんでした。

 つまり、みそ汁をよく飲む人とあまり飲まない人とで、血圧に違いは見られない結果が出ているのです。

 また、近年の研究では、みそ汁を毎日飲んでいる人のほうが血圧が上がらないことから、みそ汁に降圧作用があることがわかっています[*63]。そのほか、自律神経の調整作用があることも示されています。

 1日1杯と決めつけるのではなく、体にいいこと尽くしのみそ汁を1日2杯、食卓に出してみましょう。

みそ汁のおすすめ具材と組み合わせ

 みそ汁の具材は、みそで増える善玉菌をさらに育てるための発酵性食物繊維がよいですね。たとえば、たまねぎ、ねぎ、キャベツ、ごぼう、あたりはおすすめの発酵性食物繊維です。

 そしてなんと言ってもいちばんのおすすめは豚汁
 具材は、あぶらみの少ない赤身の豚の薄切り、板こんにゃく、ねぎ、ごぼう、里芋、豆腐、薄揚げ、にんじんなど。具だくさんですから、摂りづらい野菜もみそ汁で摂るのはとてもおすすめです。

(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)

*63 Ito K, et al. The Effects of the Habitual Consumption of Miso Soup on the Blood Pressure and Heart Rate of Japanese Adults: A Cross-sectional Study of a Health Examination. Intern Med. 2017; 56(1):23-29.