「子どもには、少しでも体によいものを食べさせたい!」ですよね。
でも、ごはんは毎日のこと。なるべくシンプルで簡単に済ませたいものです。
この連載では、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生が、最新の医学データをもとに「子どもが食べるべきもの、避けるべきもの」をご紹介します。
不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験から、本当に子どもの体と脳によい食事がわかります。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
出汁はどうしてカラダにいいの?
ぜひ、出汁(だし)に注目して献立を考えてみてください。
幼少時から出汁の味に触れておくことは、とても重要です。味覚の発達につながるのはもちろん、味覚は脳と直結しているので、脳の発達にもつながります[*36]。この場合の脳の発達とは、脳の神経の発達、つまり、神経網が密に枝を伸ばしてつながることで、脳機能が高まることを指します。
出汁にはうま味成分であるアミノ酸が豊富に含まれています。出汁の三大うま味成分は、
●グルタミン酸(昆布出汁に豊富に含まれる)
●イノシン酸(かつお出汁に豊富に含まれる)
●グアニル酸(きのこに豊富に含まれる)
です。組み合わせて使うことで、うま味成分が倍増します。
また、出汁には、煮干し出汁、いりこ出汁、あご出汁、ホタテ出汁など、いろいろな種類があります。
お財布と相談して手に入る出汁を複数使うことで、子どもが触れる味のバリエーションが増えます。もちろん、パックや粉末のタイプでOKです。
味覚は脳に直結しており、いろいろな味を体験することは脳の神経への刺激になります。神経が刺激されると、神経細胞が伸びてお互いが密につながっていきます。そうすることで脳の発達によい影響を与えるのです[*36]。
出汁を使うと減塩になる?
うま味は、5つある基本味のうちの1つです。ほかに塩味(えんみ)、酸味、甘味、苦味があり、あわせて基本五味といいます。
出汁がしっかり効いているとうま味が立つため、塩分が控えめでもおいしく感じます。
「かつお出汁だけ」「きのこ出汁だけ」など、単品の出汁だけでなく、「かつおと昆布」「煮干しと貝」など、いろいろな組み合わせで出汁を使ってみましょう。うま味が増して、おいしく減塩できますよ。
汁物、煮物以外にも使って味わいをプラス
我が家ではみそ汁や煮物以外にも、粉末出汁をたくさん使っています。野菜と肉や魚介たっぷりのお好み焼きを作るときにも、粉末出汁を大量に入れます。パスタなどにも使えますし、鶏肉に昆布出汁を和えて焼くと、塩を足さなくても、食べ応え十分の鶏肉料理になります。
出汁の粉をキャベツなどの野菜にふりかけて軽くもむだけでも、おいしい一品ができあがります。湯豆腐や冷ややっこにのせて食べてもいいですね。
そのほか、卵焼きに入れる、米に入れて炊きこむなど、いろいろな使い方があります。ぜひ多彩な粉末出汁を試してみてください。
このほかにも『医師が教える 子どもの食事 50の基本』では、子どもの脳と体に最高の食べ方、最悪の食べ方をわかりやすく紹介しています。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本』から一部抜粋・編集したものです)