この連載は、『医師が教える 子どもの食事 50の基本』の著者で、赤坂ファミリークリニックの院長であり、東京大学医学部附属病院の小児科医でもある伊藤明子先生によるものです。テレビなど多数のメディアに出演されている信頼度の高い人気の医師です。
本書の読者からは、
「子を持つ親として、食事の大切さがよくわかった」
「何度も読み返したい本!」
といった声がたくさん届いています。不確かなネット情報ではなく、医学データと膨大な臨床経験によってわかった本当に子どもの体と脳によい食事。毎日の食卓にすぐに取り入れられるヒントが満載です。今回は風邪を引いた時の食事の重要性を解説します。
※食物アレルギーのある方は必ず医師に相談してください。
早く治すには、たんぱく質をしっかり摂りましょう
カラダが感染症とたたかうには、免疫細胞(白血球)がしっかり働くことが大事です。
食が細く、たんぱく質が不足気味の子どもは、白血球数が比較的少なめであることが多いです。白血球や病気とたたかう抗体はたんぱく質から作られます。卵、魚、肉、大豆食品(納豆、高野豆腐、豆腐等)のたんぱく質をしっかり食べて早く治しましょう。
炭水化物オンリーの食事は避けて
体調が悪いと食欲が減退しがちですが、やはり食事は大切。消化に良いからと米だけのおかゆや素うどんを与えるご家庭も多いと思いますが、炭水化物オンリーの食事となってしまいます。これではカラダを治すための栄養が足りません。
風邪を長引かせないためにも、卵、釜揚げしらす、かつお節など、たんぱく質をしっかりと混ぜたりかけたりして、栄養を摂りましょう。
あまり食べられない時は、市販の栄養ジェル(各種ビタミン・ミネラルが含まれるもの)も取り入れるのもいいですね。
風邪の時におすすめのメニュー
風邪を引いて食欲がない、お腹がゆるい。そんな時におすすめのメニューをご紹介します。
◆栄養抜群のおかゆ◆
材料(作りやすい分量で)
● 雑穀ごはん(炊いたもの)
● みそ汁
● 具材(卵、すりゴマ、大根など)
作り方
1
みそ汁に雑穀ごはんを適量入れ、火にかける。沸騰したら火を弱め、弱めの中火で煮込む。
つゆ多めがお好みなら、ごはんに対しみそ汁がしっかりかぶるくらいで煮込む。しっとりおかゆ風がお好みなら、ひたひたくらいの量で煮込む。
2
溶き卵、すりゴマ、食べやすい大きさに刻んでやわらかく煮た大根などの野菜を混ぜ入れる。
ポイント
おなかの調子が悪くても栄養補給を続けて。みそ汁をベースにした雑穀がゆがおすすめです。
ビタミンAも大切
たんぱく質の他にも、粘膜など局所免疫の強化にはビタミンAが力を発揮します。強い抗酸化力をもったビタミンAが、病原体による炎症を局所で抑え込んでくれます。
野菜など植物に含まれるベータカロテンが、腸でビタミンAに変換されて活用されます。うなぎ、銀だら、あなご、チーズ、卵、のり、しそ、モロヘイヤ、にんじん、ほうれん草などに含まれています。
抗酸化物質も大切
風邪、インフルエンザなど感染症による症状のときは、いつも以上に炎症とたたかう抗酸化物質をしっかり摂ると、早く治ることが期待できます。
新鮮な魚と野菜とともに、薬味、スパイス、ハーブなどの抗酸化力がとくに高い食材を摂るとよいでしょう。
はちみつもおすすめ
はちみつは、病院で処方される一般的な薬と比べて、咳・鼻水などの症状を抑える効果が有意だったという研究があります[*118]。
はちみつには抗菌作用があります。抗酸化作用のあるポリフェノールが含まれているので炎症を抑える作用があることに加えて、ほかにも栄養素が含まれます。これらが総合的に有用な効果を発揮するのではないかと考えられています。子どもに与える場合は、1歳以上になってからです。
(本原稿は伊藤明子著『医師が教える 子どもの食事 50の基本から一部抜粋・編集したものです)