「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
高齢の親を守るために聞いておくべき質問
――「高齢の親になにかあった場合に備えて、病院などの情報を聞いておきたい」というニーズは根強くあるように思います。確認しておくべき項目などあるのでしょうか。
萩原礼紀(以下、萩原):まず、高齢の親の病院事情などを把握しようとする姿勢は本当にすばらしいことです。これはできそうでできないことです。
皆さんの姿勢がすばらしいことを前提に、まず覚えておいてほしいことは「あいまいに聞いてはいけない」ということです。
たとえば、「いつも行っている病院を教えて」という聞き方。一見なにも問題ないように思いますが、これでは確認すべきことが確認できません。「最近近所の内科に行っているのよ」くらいは教えてくれるかもしれませんが、なにかあったときの情報としては物足りないでしょう。
――そういった聞き方を自分もしてしまっていたように思います。では、どのような聞き方をするのがいいのでしょうか。
萩原:「かかりつけの病院、診療科、担当医を教えてほしいな」のように具体的に答えられる質問をするのがいいでしょう。
この聞い方であれば、親も明確に答えられますし、なにかあったときの連絡先も明確です。もし余裕があれば、既往歴・現病歴・アレルギー・禁忌事項なども聞いておけるとより安心でしょう。
これらの質問は、地震や火災などに備えるのと同じくらい重要です。助かるものも助けられなくなることがありますから、単刀直入に確認していきましょう。
――ありがとうございます。大変勉強になりました。