「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
「老いた親を知らぬ間に傷つけてしまう人」が見落としている1つの視点
「1人で病院にも行けないでしょ? お母さんにはヘルパーさんが必要なんだよ」。1人で病院に行けなくなった親に、介護サービスの利用を促すひと言です。こう言いたくなる気持ちもわかりますが、なかなかシビアなひと言ではないでしょうか。
歳をとり、1人でふらっと出かけることすらできなくなるのは、ものすごい喪失体験です。介護が必要なのは、親自身が一番わかっていることだと思います。親の姿というのは、あなたの20年後、30年後の姿です。そう考えたら、なるべく親の心情に寄り添い、温かいひと言をかけてあげるのがベストだと誰もが思うでしょう。
そんなときには「ワクワクと心が躍るような情報」を伝えてあげるのがいいです。
たとえば、「デイサービスで友達ができるよ。相性が合わない人がいても曜日を変えたり、違うお店を選んだりできるよ。楽しそうだし、一緒に見に行かない?」などです。考え方や好みに合わせた選択ができることを伝えると多くの場合、まずは聞いてみようかなと親は思います。
実際に、現在の介護サービスは、以前のイメージとはかなり様変わりしており、各事業者がそれぞれに特徴を持ってサービスを提供しています。そのため、親の誤解を解くことができれば話が前進することは多々あります。
この伝え方は、男性よりも女性にとくに効果があります。お母さんに声をかけるときに使ってみてください。