「歳をとった親が言うことを聞いてくれない」。誰もが一度はこんな経験をしているのではないでしょうか。「親がいつまでも自分のことを若いと思っている」「病院ギライがなおらない」「お酒の量が減らない」などその悩みはさまざまです。親のことを思って言ったのにもかかわらず、いつも喧嘩になってしまうのは、実は伝え方に問題があります。そんな問題を解決すべく、『歳をとった親とうまく話せる言いかえノート』が発刊されました。本記事では書籍の一部を抜粋してお届けします。
病院の情報を把握しておこう
「いつも行っている病院を教えて」。歳をとった親の万が一に備えて、かかりつけの病院を把握しておく質問です。
この場合、フワッとしたあいまいな聞き方ではなく、ストレートに聞くのがおすすめです。なぜなら、通っている病院などの情報は、生命にかかわるものであり、正確な情報の把握が求められるものだからです。しっかりと把握しておけば、万が一の際にも速やかに適切な対処ができるでしょう。
ですから「いつも行っている病院を教えて」ではなく「かかりつけの病院、診療科、担当医を教えてほしいな」と詳細を聞いてください。
具体的には、病院の住所、電話番号、担当医、特記事項(既往歴・現病歴・アレルギー・禁忌事項)を知っておくと安心でしょう。
この質問は、地震や火災などに備えるのと同じくらい重要です。助かるものも助けられなくなることがありますから、単刀直入に確認しましょう。
もしも、親とのあいだにわだかまりがあって聞きづらいならば、最初に「親を思う誠の心」を伝えるようにしてください。たとえば「私は、お父さんの子どもとして、責任をもってサポートしたいと思っています」などです。あなたの誠実さを感じ取れば、親も素直に教えてくれるでしょう。
これまで、「親が倒れたけどいつも通っていた病院がわからない」とパニックになるケースを何件も見てきました。なにかあってからでは遅いですから、元気なうちに確認しておけると安心でしょう。