運動習慣のある人でも
座りすぎは心臓に良くない
座っている時間が長いと、たとえ推奨される最低限の運動を行っていたとしても、心臓に悪い影響が生じることを示唆するデータが報告された。ただし、より高強度の運動を加えることで、そのリスクをある程度抑制できる可能性があるという。
米コロラド大学ボルダー校のChandra Reynolds氏らの研究によるもので、詳細は「PLOS ONE」に9月11日掲載された。同氏は、「仕事の後に少し歩く程度では、心臓の健康にとって十分ではないかもしれない」と述べている。
この研究は、米国コロラド州で行われている二つの疫学研究の参加者1327人(平均年齢33.2±4.9歳〔範囲28~49〕、女性53%)を対象に行われた。
研究参加者の年齢が比較的若いことに関連して、論文の筆頭著者である米カリフォルニア大学リバーサイド校のRyan Bruellman氏は「若者は自分には加齢の影響が生じ始めていると全く考えていないことが多い。しかし後々の健康にとっては、人生のこの時期に何をするかが重要だ」と語っている。
研究参加者の1日の座位行動時間は平均8.58時間だったが、中には16時間に及ぶ人も含まれていた。運動時間については、平均的に1週間あたり80~160分の中強度運動、135分未満の高強度運動をしている人が多く、これらは米国の全国平均よりも運動習慣が良好な集団であることを示していた。
この研究では、BMI、および、総コレステロールを善玉コレステロール(高比重リポ蛋白コレステロール)で除した値(TC/HDL-C比)という二つの指標を、心臓の健康状態を推測するために利用した。解析対象全体の平均は、BMIが26.9±6.1で、TC/HDL-C比は3.3±0.9だった。
解析の結果、座位行動時間が長い人ほど、これらの評価指標が悪いことが明らかになった。一般的に推奨される最低限の運動量である、1日に約20分の中強度の運動を満たしていたとしても、座位行動時間が長いことによる心臓への悪影響は、十分に抑制されていないと考えられた。