大腸がん検診、現時点では
血液検査よりも大腸内視鏡検査が優れる
大腸がん検診において、新たな検査選択肢である血液検査は大腸内視鏡検査ほど有効ではないことが、米スタンフォード大学医学部消化器・肝臓内科学教授のUri Ladabaum氏らのレビューによって明らかになった。
血液検査を推奨通りに3年に1回受けている人では、大腸内視鏡検査を10年に1回受けている人と比べて、大腸がんによる死亡が約2.5倍多く発生すると推定された。Ladabaum氏らは、大腸内視鏡検査や便の検査ではなく血液検査を選択する人が多くなると、大腸がんによる死亡が増加するとの予測を示している。この研究結果は、「Annals of Internal Medicine」に10月29日掲載された。
米食品医薬品局(FDA)は2024年7月、大腸がんリスクが平均的な人に対する大腸がん検診として血液検査を初めて承認した。
この承認は、約8000人を対象とした臨床試験の結果に基づき決定されたもの。同試験では、血液検査によって大腸に腫瘍のある人の83%以上で大腸がんを検出できることが示されていた。しかし、この検査によって、前がん病変である大腸ポリープを検出できた人の割合は約13%に過ぎなかった。
大腸内視鏡検査は簡単な検査とは言い難い。この検査を受ける人は、前もって強力な下剤を飲んで腸を完全に空にしなければならず、検査に際しては鎮静薬の投与も必要となる。
しかし、医師が検査中に前がん病変のポリープを見つけた場合には、その場でそれを取り除くことができることから、この検査によって大腸がんは予防可能ながんの一つになった。Ladabaum氏は、「このことは、大腸内視鏡検査ががんを予防する可能性もあるユニークながん検診の手段であることの理由となっている。
それにもかかわらず、検診を全く受けていない人、あるいは推奨されている頻度で検診を受けていない人は数多くいる」と指摘する。